オーケストラ,  ソロ・アンサンブル,  演奏メモ

2022年 今年の「曲」

今年の漢字は「戦」だった。良い戦い(W杯など)・そして言わずもがな、悪い戦いも起こった1年であった。

自分は今年還暦になったが、自分にとっての漢字は、恐らく同い年の大半が選ぶであろうこの「還」ではなく、「再」である。

ブラームス作曲 交響曲第4番より第4楽章「パッサカリア」

この曲は実はオケで演奏したのではなく、たった1本のフルート用に編曲したソロ曲である。

この夏、岐阜の子供達のバンドの合宿にて、講師によるミニコンサートで演奏したのだが、実はこの合宿自体が3年ぶりなのである。コロナで何度も何度も中止になり、今年漸く再開したのだが、流石に子供達はまだ宿泊付きにする訳にはいかず、公民館に通いという形であった。このパッサカリアもその3年前に用意しておいて、この度やっと披露できた次第である。

モーツァルト作曲 歌劇「コシ ファン トゥッテ」

藝大オペラはまたもやこの演目だ。尤もこれも2年前のこのシリーズで中止になったので、これも再開と言えるのか?自分にとって7回目、パート譜もほぼ暗譜すらしている状態とはいえ、最後の1st.での“ピットイン”であった。

何度も言うが、音楽はどれも素晴らしいし、何処をとってもほぼ完璧に作られている凄いオペラである。だがストーリーが最悪である。何語かも解らずただボーッと聴いている分には最高に楽しめる曲であろう。

自分も漸くこの「コシファン」の呪縛から解放されたという爽快感も伴っている。

ブルックナー作曲 交響曲第4番「ロマンティック」

これは「再」とは特に関係ないが、自分にとって最後のGフィル定期演奏会の曲だった。ブルックナーの交響曲は、どれも独特の雰囲気と特徴を持ち合わせていて、ハマる人にはハマるらしい。自分はそれ程でもないが、1st.フルートは要所要所に美しくも難しいソロがあり、最後に充実した仕事をさせて貰った感じだ。

平尾貴四男作曲 管楽五重奏曲

10月末、23年ぶりに再会した還暦オヤジの集団「TIBIA木管五重奏団」のライヴでは、思い出の曲や自作も演奏した訳だが、プログラム最後に演奏したこの曲は、やはり素晴らしい名曲だった。その前に演った自作2曲が、自分的には遥かに霞んでいた。

実はこの曲の大部分は記憶から薄れていたのだが、8月のTIBIA合宿で再び音を出してみたら、その色々な部分を身体が記憶していたのを自覚して思わず震え上がった程だ。若い頃は本番に向けて我武者羅にさらっていたが、こうして年齢を重ねてから吹いてみると、この曲の真髄に触れられたような悦びがあった。数ある木管五重奏曲の中でも傑作中の傑作であることを再認識した次第である。

ファリャ作曲 バレエ組曲「三角帽子」

2019年のアマチュアフルートアンサンブルの演奏会の為に編曲した、ファリャの代表作だが、いかんせんアマチュアなので、どうしても演奏レヴェル的に問題があり、不満を感じていた。これをプロのフルート奏者を集めて是非再演したいと、常々思っていた。

そしてその夢が、ちょうど自分が60歳になった日に叶えられた。それが、つい先日終わった「ハートフルクリスマス2022」のコンサートである。編曲初版では、難しいパッセージはピアノ伴奏に回すなどしていたが、第2稿ではそんな事はせずにどんどんフルートパートに回した。流石は皆プロ奏者として華々しく活躍している彼女達、リハーサルはたったの1回。その1回だけでほぼ完璧に演奏してくれて、感無量だった。2022年は彼女達のおかげで本当に気持ちよく締めくくられたと思う。

来年は、正確には来年度はもうオケでは吹かない予定なので、専らソロや室内楽になるであろう。それも小ぢんまりした所だったり、動画配信だったりなど、地味な活動になるので、あまり印象に残る曲もないだろう。

従ってこのシリーズは、一応今回で打ち止めにしたいと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です