オーケストラ,  ソロ・アンサンブル,  思い出

2016年、今年の「曲」

そして今年も本当に早かった。年が明けたばかりの時は、あまり見当がつかなかったが、月日が経つに連れて演奏会やプログラムが徐々に決まっていき、その度に「まだ時間あるな」「考えてみればヤバいな」「あれもう時間がないゾ」といろんな思いが伴いながらも、ふと我に返ればそれら全てがもう終わっているではないか!顧みれば今年は特にキツかった気がする。気がするが、ちゃんと演奏したかどうかあまりハッキリとした記憶がない。
この『小枝の響』ではこの時期恒例になりつつあるが、それでは今年特に印象に残った曲を5つ挙げてみよう(日付順)
リゲティ作曲 13奏者の為の協奏曲

Gフィル「想像の杜」演奏会の中の1曲で、これまでに経験した事のない位厳しいパート譜であった。めくれどもめくれども小さい音符が蟻のように群がっている。他のどの曲もそんな譜面ヅラだったが、特にこの曲はその題名通り一人ひとりにかかる負担が大きく、本番までの1ヶ月位はもう“地獄”だった。だが本番はほぼ満席の大盛況。それだけマニアックな曲が揃っていたという事か。
武満徹作曲 「海へ」

9月11日、ギタリスト橋爪晋平氏とのデュオリサイタル第2弾にて演奏。アルトフルートとギターの調和性を余す所なく発揮した名作であった。フエ吹きとしてこの曲が演奏できて本当に良かったと思う。
木下牧子作曲 「海と涙と私と」
「海」ネタが続くが、やなせたかし氏の作詞による日本歌曲。
「月夜の海に来てみたが
月夜の海は青いだけ
波が虚しく騒ぐだけ
ただ寂しさがこみ上げる
(中略)
でもこの海の懐かしさ
でもこの海の塩辛さ
少し心がほっとする
(後略)」

10月 にこの曲のピアノ伴奏をした。このように歌詞もさる事ながら、とても心に浸み入る音楽で、思わず涙腺が緩む。伴奏という形でありながらも、管楽器奏者としてこうして日本歌曲に触れられるのはもの凄く勉強になるし、幸せな事である。
自作 「影」

これは自分は演奏はしていない(デモ用に自録りはしたが)。お馴染みのアマチュアのフルートアンサンブル“えむ”が、山野楽器の主催するアンサンブルコンテストに出場するに際し、自由曲として書き下ろした6重奏曲。4月末に完成し、10月23日に本番。アンサンブル曲としては我ながら結構難曲だと思うが、この僅か半年間で完成させ、そして“えむ”は見事優勝を勝ち獲ってくれた。とても嬉しかった。作曲した甲斐があるというものである。
タファネル作曲 『ミニヨン』の主題によるグランドファンタジー

先月の荻窪音楽祭「エルティアンサンブル・コンサート」にて演奏。実はこの曲、この時初めて本番で吹いたのだが、それまでにレッスン等でちょくちょく聴いていたせいか、半分位は既に憶えていた。なので暗譜で演奏。フルーティストが書いただけあって、難曲ながらも割と吹き易かった。
上記5曲のうち「海へ」以外の4曲は、一年前の暮れには未だ関わるとは思っていなかった曲である。こんな風に来年はどんな曲が自分に降りかかってくるか、不安でもあり楽しみでもある。

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