オーケストラ,  ソロ・アンサンブル

2018年、今年の「曲」

今年印象に残った曲の中で、昨年と同じ曲が2曲もある。

1.プロコフィエフ作曲 無伴奏ヴァイオリンソナタ
これの第1楽章のみを演奏する機会が1月と7月の2度あった。この曲は何と、例えばオケのヴァイオリンパートが全員ユニゾンで演奏することもあり、実は子供の頃にそれをラジオで聞いた事がある。とても面白くてカッコイイ曲だったのを今回ふと思い出し、1月に同じようにデュオでほぼユニゾンで演奏した(7月ではソロで吹いた)。
もし機会があれば、全曲版も吹いてみたいと思う。

2.ハチャトゥリアン作曲 ヴァイオリン協奏曲
自分の大好きな曲の一つである。6月下旬にウチのアンサンブル発表会で第3楽章のみ演奏した。嘗てJ.P.ランパル氏がフルート用に編曲した楽譜を、確か自分が高校生の頃購入し、何となく遊びでさらっているうちに憶えてしまった。
若い頃にハマった曲というのはいつまでも憶えているもので、数カ所忘れた部分を憶え直しただけで暗譜でスラスラいける…と言いたいところだが、やはり体力的にはキツい曲だった。
この曲のバックはフル編成オーケストラなので、フルート版だとどうしてもソロがかき消されてしまいがちだ。ピアノ伴奏だとその心配は軽減されるものの、逆にハチャトゥリアンらしい迫力も減ってしまう。ピアニストはその辺、なかなか調整が大変そうであった。

1.バッハ作曲(マーラー編曲) 管弦楽組曲
これを演奏する機会が与えられたのは、実に嬉しいことだ。一生のうちでもう2度とないだろう。Gフィルの秋の定期演奏会のプログラムの一つだった。
文字通り、あの交響曲作曲家のマーラーが、バッハのそれを自分なりに脚色した奇曲といっていいだろう。元は「管弦楽組曲第2番」より4曲、「第3番」より2曲をチョイスしてある。ピアノやパイプオルガンが入っていたりと、何ともマーラーらしい編成だが、個人的に最も印象的だったのはフルートが4人、しかも4人共ユニゾンで演奏させることだ。多分音量的効果を狙ったものだと思う。
かなり昔、これを群馬交響楽団が演奏したのを聴きに行ったことがあり、その時のオケの配置はまあ通常通りだったが、今回の本番ではフルート奏者は4人共指揮者の真ん前に座らされた。気分的に多少の戸惑いはあったものの、すぐ隣がヴァイオリンのトップなので、実に吹きやすかったのを憶えている。

4.ベートーヴェン作曲 ヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」
5.フランク作曲 ヴァイオリンソナタ

先月の記事の通り、レコーディングした2曲である。「クロイツェル」とは昨年からの付き合いだが、フルートでこれをフルで吹くのはやはり相当な体力勝負なので、身体が元気なうちにCDとして残すことができてよかったと思う。一方フランクは26年ぶりで、逆に曲の解釈がその26年前よりも変わってきて、何かこう…楽曲の“深み”が感じられてきた。その意味では、やはりこの曲も今にしてみれば、自分にとっては“旬”の時に録音できたなと思う。

考えてみれば、ヴァイオリンに関する曲ばかりであった。だが自分はあくまでも“ヴァイオリン曲”が好きなのであって、“ヴァイオリン”そのものが好きな訳ではない。発音するにあたって、実際に“呼吸”したり“口”や“舌”を使う方が、自分の性に合っている。ただ、自分も弦楽器用の編曲をする機会もあるから、やはりもっと弦楽器については勉強する必要があるなと思う。

番外編:音楽物語「ちいちゃんのかげおくり」
この自作曲も昨年印象に残った曲の一つであったが、今年はこの曲のライヴ録音を足掛け1年かけて編集し、10月にYouTubeにアップした。視聴回数がお蔭様でもうすぐ1,000回に達しようとしている。作家:あまんきみこさんの感動の名作を、是非多くの皆様に(音楽付きで)お聴き頂きたいと思う。