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オケ…この1年

波乱万丈のGフィル2020年度が終わった。一昨日「Jr.アカデミー成果発表会」と称する中学生達のコンチェルト・シリーズを無事に終えて、今年度の業務終了。畏らく何処の大学も何処のオーケストラもそうだと思うが、こんな1年になったとは誰が想像できただろう?

中止・延期、そして再開まで

2020年度とは言ったが、正確にはこの異常事態は一年前の3月、つまり2019年度から始まっていた。それらの状況をザッと箇条書きしてみると…

  • 2020年3月 浅草公会堂にて予定されていた「台東区音楽鑑賞教室」が中止。
  • 2019年度Jr.アカデミー成果発表会が中止。
  • 2020年4月〜8月に予定されていた定期演奏会・現代音楽演奏会・台東区音楽鑑賞教室・オープンキャンパスコンサート等が全て中止。
  • 2020年度の全モーニングコンサートを一旦中止。
  • 10月のオペラ定期公演「Cosi fan tutte」・11月の合唱定期「ミサソレムニス」が中止。
  • 11月に予定されていた南米ウルグアイ・アルゼンチン演奏旅行が延期。
  • 12月の「台東区第九演奏会」が中止。
  • 2020年8月 政府主催の「全国戦没者追悼式」の奏楽を弦楽器のみで演奏(これが事実上、2020年度初仕事となる)。
  • 2020年9月 感染対策を施した上での「特別試演会」の開催。
  • 10月 後期定期公演を短めのプログラムに再編成して開催(原則非公開・配信あり)。
  • 2020年11月〜2021年3月 モーニングコンサート全公演をプログラム再編成の上「代替公演」として開催。一般公開も復活。
  • 毎年12月に予定されている「レクサスコンサート」の代わりに、「新人紹介定期演奏会」の代替公演とした「アートルネッサンスコンサート」を開催&後日配信。
  • 2021年1月 指揮科学生による年度末試験&卒業・修了演奏会は予定通り行われるが、一般公開は無し。
  • 2月 「日本国際賞授賞式」用の映像収録。しかしこの後、授賞式自体が中止となる。
  • 3月 Jr.アカデミー成果発表会が2年ぶりに開催。但し一般公開はせず、出演関係者のみの観覧とする。

この他にも幾つかの外注公演が中止となった。残念ではあるものの、今年度は行動範囲をあまり広げない方が良いという意味では、妥当な判断であろう。

オーケストラの在宅ワーク

全コンサートがそんな訳で中止となった4月からの4ヶ月間、ではオケのメンバーは何をしていたか?

「在宅勤務」をしていた。

一堂に集まって指揮者の棒で演奏するだけがオケの仕事という訳ではない。リハや本番がないのなら、奏者はその時間を使って個々の技術を磨いたり、オケや音楽に関するいろいろな研究をし、そしてその記録を「出勤簿」として提出。他の商業オーケストラとは違って大学に所属する楽団所以であるが、この大変な状況下、こうして“仕事”を存続してくれた大学には心から感謝している。

そして自分の場合は、どんな「在宅ワーク」をしていたか?

それはメインサイト「YUMO-musichouse」を、特に「THEORY」のページをご覧頂ければお解りであろう。この4ヶ月間、実にいろいろと研究・実践・そして編集し、正直言ってもの凄く忙しく、且つ充実していた。具体的にザッと成果を挙げてみる(青字はリンク付)。

この他にも別の練習曲をさらい始めたり、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」の「パントマイム」について研究を始めているうちに8月に突入、在宅勤務期間も終了したという訳である。

上記で採り上げた殆どの題材は、本来この時期に演奏される予定だった曲だ。家に居ながらにしてオケで吹いている時と同じ給与が支給されるのなら、こちらも誠意を以て徹底的に応えなければと思っていたが、正直これらの作業は、本来の勤務時間外でもずーっとやっていた訳で。丸一日やっていた、と言ってもよいかも知れない。

自分にとっての「趣味」だったのかな…とも思う。尤も“自己技術の鍛錬”になったかどうかは定かではないが。

新年度は一応本来のパターンの則ったスケジュールが発表され、現時点では「中止」「延期」というアナウンスはない(但し、南米公演は無くなった。当然といえば当然であろう)。ただ、今後の状況の変化によっては、変更の可能性もゼロではない。全公演が予定通り、そしていろいろな意味で無事に開催できる事を願っている。

このCOVID-19は、残念ながら嘗てのSARS等のように消滅することはないと言われている。だが、将来的には特効薬ができてワクチン体制も充実し、所謂インフルエンザのような扱いとなるそうだ。なので、マスクはともかく、手洗いや除菌についてはほぼ永久的に必要であり、予防と同時に耐性や免疫力を高めていきながらも、徐々に2年位前と同じような経済社会に戻って行くのだろう、と自分は予想している。

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