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Final Cut Proの初仕事

MacやiOSデバイスを買うと中に入っている「iMovie」はビデオ編集用のソフトである。これのお蔭で色々な動画を編集してきた。但し、複数の動画を同時に表示するには限界がある。

そこで今回新たに「Final Cut Pro X」という動画ソフトを買ってみた。あれこれ試しているうちに、これは自分の想像を超える凄いソフトだという事が解ってきた。

昨今COVID-19の影響で、音楽動画界でも「リモート・アンサンブル」が酣(たけなわ)であるが、これはオンライン・ミーティングとはまた別で、各人が自宅で撮ったパートを1ヶ所に集めて編集&公開するというもの。この「Final Cut Pro 」はまさにこれにうってつけのソフトであり、自分も本腰入れてこれで編集作業を始めた。

作曲と自録り

先ずはフルート・アンサンブルの為に、このリモート用の曲を「Logic Pro X」で作曲。今回は5パートにピッコロとアルトを加えた計7パート。ライヴ用ではないので、折角だからこれにシンセサイザーや効果音を加える。

現在のこの状況を表現した曲構成にしたが、題名はどうしよう…?
「増殖」
「パンデミック」
「オーバーシュート」…
どれもリアル過ぎて痛い印象。あれこれ考えた末、
「希望の光」にした。

次にこれを自分で実際に吹いてみて、全体の印象を確かめる。全パート録音し「GarageBand」でミキシング、デモ演奏を完成させる。さて今度は、各メンバーにこれを吹いて貰うのだが、終始テンポの変わらない曲(♩=60)とはいえ、何せ新曲なので曲想的なものは多少伝えておかねばならない。そこで、単にテンポだけではなく「指揮動画」を作成。クリック音・小節番号をミックスして、各メンバーにはこれを見ながらパート譜を吹いてもらうために。

数字は「今何小節目を振っているか」を表わす。(年齢ではない)

動画の編集

こうして各メンバー宛に担当パート譜・指揮動画・そして自分のデモ演奏をセットにして送る。ただ、この段階ではメンバーはこの曲が全体合奏でどんな曲になるのかは、まだ知る由もない。デモ演奏だって敢えてミックスする前のパートのみ。敢えて全体は伏せたままにし、出来上がりを聴いてのお楽しみ、ということだ。

「送る」といっても、いちいち郵送なんかしたりしない。今は「LINE」の添付でやり取りできる。一瞬で送れる。つくづく便利な世の中になったものだ。

6分半程の短い曲だが、その内訳は3つの部分からできている。メンバーは14名、各部ごとに動画を送って貰ったので動画は全部で42本にもなる。先ずはそれを全部Macに取り込むところから始まる。

自撮りの方法については特に指定をせず、極めて自由に録音録画して貰った。すると、メンバーは皆自宅だから、それぞれ色々なシテュエーションがあり、それはそれで面白い。縦動画・横動画・やけに音量が大きかったり小さかったり、妙に姿が遠かったり、半分以上が譜面台だったり、動きが大きくて画面からはみ出したり、バックグラウンドでTVの音が入っていたり…
何より、ほぼ全員の表情が何となく困惑している感じだ。無理もない。いきなり新曲を出されて、どんな曲か判らないまま吹かされているのだから(笑)

ここでいよいよ「Final Cut Pro X」起動。各画面の大きさや位置を微調整しながら、動画を“切り貼り”していく。各奏者のそういった情景の違いは、しかし「リモート・アンサンブル」の特徴でもあるので、敢えてその辺をうまく活かして配置。自分のMacbookは画面が16インチもあるが、それでもかなり細かい作業なので、思わずメガネを外して画面に顔を近づけて…。

時折Macbookが「Wooo〜」と唸っている。やはりこの仕事、かなり負荷がかかるのか、熱を放出する為にファンが全速力で回るのだ。その度に“お釈迦”になった 先代(Macbook Air)を思い出し、作業を中断して休ませてあげたり。

Final Cut Pro X の編集画面

動画の追加と楽しいEffect作業

一方で、自分もこの曲にキーボードやシンセサイザーで参加するので、その音楽作りも同じ「Logic」で進める。打ち込み音符による自動演奏と、実際に弾いて録音したものの2種類を準備しておく。

そして背景やテキストなどのエフェクトを加えていくが、これがなかなか楽しい。Final Cut Proにはかなり沢山のパターンが含まれているが、それとは別にもう1つ「Motion」という動画用ソフトウェアに活躍してもらって新たなエフェクトを加える。これもまたかなりの優れものだが、使いこなすのは大変そうなので、元々のテンプレートにちょいと手を加えたアニメーションを作って貼り付ける。

最後にもうひと工夫ほしい。美しい自然を描写した映像はないか?花とか雲とか湖とか。ネットで拾ってもよいのだが、そこはいっちょ“取材”してみるか、という訳で近所の公園にiPhoneを持って出かけてみる。既に季節的には花の時期もそろそろ終盤だが、それなりに適当な材料が得られた。

 

サウンドの編集

映像がほぼ完成したところで、今度は「音」の編集だ。一つ一つの動画から音声だけを切り離し、タイミングや音量のバランスを微調整していく。ただしこれには流石に限界がある。

「GarageBand」で編集したので、ソフトの能力的な限界もあるが、それよりも1箇所1箇所細かく揃えるにはあまりにも時間がかかり過ぎるのだ。ピッチだって揃っていないが、そもそも各々独りで吹いているから合わせようがない。

なので、大体のところで妥協しながら進めていく。タイミングもあまりにいじり過ぎると、今度は映像とずれてしまうし。

仕上げ そしてアップロード

このようにして出来上がったフルートアンサンブルだけの演奏データ・自分のキーボード演奏のデータ・そして幾つかの自動演奏データを映像に重ね合わせていく。各奏者の細い指の動きを見ながら、音とタイミングがずれないよう、またもやメガネを外して画面に釘付けになりながら。。。

最後に制作テロップを付けて作業終了。曲の発想からここまで約2ヶ月。一つひとつの作業にいちいち時間がかかったのは、何もMacbookのCPUのみならず、自分の頭だって沸騰するので常に休みながらやっていたからだ。

かくして、テレワークの為のアンサンブル動画:“えむ”の「希望の光」が完成した。

出来上がった動画は、先ずメンバーに配信。諸所確認してから次にYouTubeにアップロード。それがこれである。

衝撃的な事実

…それにしても幾ら最新のマシンとはいえ、やけに最近Macの動きが重いし唸るし、、やっぱり次第に負荷が多くかかったのかな〜と、ふとストレージを見てギョッとした。

何と500GB以上持っている筈なのに、もうあと50GB位しか空いていないではないか。要するにこの「希望の光」関連のデータだけで、何と330GBも知らぬうちに占領していたのである。

アップロード終了後、そんな訳でこの330GB分は外部メディアにごっそり移して、我がMacbookは何事もなかったかのようにスッキリとシェイプアップ。因みにデータ転送には、USB-Cの速さを以てしても1時間程かかったか。

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