こうして各メンバー宛に担当パート譜・指揮動画・そして自分のデモ演奏をセットにして送る。ただ、この段階ではメンバーはこの曲が全体合奏でどんな曲になるのかは、まだ知る由もない。デモ演奏だって敢えてミックスする前のパートのみ。敢えて全体は伏せたままにし、出来上がりを聴いてのお楽しみ、ということだ。
「送る」といっても、いちいち郵送なんかしたりしない。今は「LINE」の添付でやり取りできる。一瞬で送れる。つくづく便利な世の中になったものだ。
6分半程の短い曲だが、その内訳は3つの部分からできている。メンバーは14名、各部ごとに動画を送って貰ったので動画は全部で42本にもなる。先ずはそれを全部Macに取り込むところから始まる。
自撮りの方法については特に指定をせず、極めて自由に録音録画して貰った。すると、メンバーは皆自宅だから、それぞれ色々なシテュエーションがあり、それはそれで面白い。縦動画・横動画・やけに音量が大きかったり小さかったり、妙に姿が遠かったり、半分以上が譜面台だったり、動きが大きくて画面からはみ出したり、バックグラウンドでTVの音が入っていたり…
何より、ほぼ全員の表情が何となく困惑している感じだ。無理もない。いきなり新曲を出されて、どんな曲か判らないまま吹かされているのだから(笑)
ここでいよいよ「Final Cut Pro X」起動。各画面の大きさや位置を微調整しながら、動画を“切り貼り”していく。各奏者のそういった情景の違いは、しかし「リモート・アンサンブル」の特徴でもあるので、敢えてその辺をうまく活かして配置。自分のMacbookは画面が16インチもあるが、それでもかなり細かい作業なので、思わずメガネを外して画面に顔を近づけて…。
時折Macbookが「Wooo〜」と唸っている。やはりこの仕事、かなり負荷がかかるのか、熱を放出する為にファンが全速力で回るのだ。その度に“お釈迦”になった 先代(Macbook Air)を思い出し、作業を中断して休ませてあげたり。
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