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防火管理講習と白寿ホール

防火管理者講習

この度訳あって「防火管理者資格」というのを取得すべく、その為の「防火管理者講習」を受けて来た。講習は約5時間×2日間、全国何処でも開催されているようだが、日時と場所は限られているので、上手にスケジュールと合わせて予約しなければならない。今回の会場はさいたま市のとある会館。定員は130名だが、ほぼ満席だった。

2日目の終わりに「検定試験」があり、合格すれば「修了証」を貰って晴れて防火管理者になれる、、、とまあその行程は簡単だが、いざ地震だ火事だという局面に遭遇した時、本当にここで学んだ事が活かされるのか?となると、これはかなり重い任務となろう。

この講習で配られる厚さ1.5cmのA4判のテキストの先ず最初には、2001年の新宿歌舞伎町の雑居ビル火災の事が記されている。防火管理が杜撰だったために多くの人命が失われたという事実を教訓に、火災を如何に防ぎ、消化し、通報し、そして安全に避難するかという事を、様々な項目に分けて学んでいくが、学んでいくうちに次第に怖くなってきた。

この日以降、建物の防火対策についてはちょっと敏感になってきた。消火施設とか避難経路はどうなっているのかな等、仕事場でも商店でもキョロキョロと見渡したりしている。そんな中、とあるホールでのコンサートの仕事があった。

Afternoon Concert in 白寿ホール

渋谷区にある「白寿ホール」、この日はピアノリサイタルだったが、プログラムのメインがシューマンの協奏曲で、自分はその室内楽版の伴奏に参加した。

ゲネプロが済んで、本番の出番まで暇なので、それならばと早速防火施設についてチェックしてみる。このホールはビルの7階にあるから、もし火が出た場合は逃げるのが大変だ。非常時はエレベーターは使えない。階段は来客用と非常用の2ケ所。天井を見ると煙探知機かスプリンクラーなのか判らない物が見える。消化器は自分の探し方が悪かったのか見当たらなかったが、消火栓があった。舞台裏には非常用の脱出箱、シューターか梯子が入っているようである。尤もここは7Fなので、降りるのはかなり難儀だろうと思われるが。

という訳で、もしここで万が一火事が起きた場合、必要最低限の設備は整っていた。が…

ちょっと残念だったのは非常用階段の踊り場と消火栓の前に荷物がドサッと置かれていた事。まさにあの歌舞伎町のビルと同じ状態だった訳だ。

火事で怖いのは火よりも煙だと教わった。一酸化炭素中毒であっという間に沢山の人が亡くなったという話は、つい最近の大阪の事件でも聞いたばかりである。しかもその充満するスピードは意外と早く、踊り場の荷物で避難に手こずっているうちに多分追いつかれてしまうだろうと思う。

消火栓は、あれは消防士だけでなく、非常時には誰もが使っていいそうである。だがあの大きい扉は全開しないとホースが取り出せないので、前に何か置いてあるのは言語道断である。演奏者が楽器ケースを置いちゃう可能性もあるので、禁止の表示をしておくべきかも知れない。

白寿ホールはリサイタルや室内楽向けの小〜中規模のコンサートホールで、美しく響きも素晴らしい。だがそれ故舞台裏はそんなに広くなく、通路も狭い。慌てずに行動すれば多分全員避難はできるであろうが、出火の規模によっては断言はできない。用心に越したことはないのである。

・・・なんて偉そうに述べる自分もまだまだダメだ。近いうちに起こる可能性の高い「南海トラフ地震」に備えて、避難グッズを確認しておかなければ…。

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