オーケストラ,  藝フィルレポート

可愛い先輩

…なんて初っ端から言うのは失礼かも知れない。でも1つ上のクラリネットのO.A先輩は、藝大入学時から「わぁ、可愛いな」という印象だった。

それから10年程が経ち、自分がGフィルに入団して3年位経った辺りか、、、そのO.Aさんは当時のクラリネット科のM教授の推薦を受けて同僚となった。既にフランスで研鑽を積み、キャリアを重ねて来たようだ。当時未だ30代手前か。しかし当時のGフィルの管楽器セクションはおっかないオッサンが揃っていて、その中で首席としてやっていくのは、さぞかし苦難の道であったようだ。隣席の年配奏者から、毎晩のようにダメ出しの電話がかかって来たとの話も聞く。

そのうちその年輩達も定年で1人2人と去っていき、オケ自体も木管が3管から2管編成に縮小された。世代交代が続いて、セクション全体も大分若返り、雰囲気も明るくなった。そのムードメーカーとして、職場を朗らかにした立役者がまさにO.Aさんであった。

昨年秋に退職されたフルートのO.Aさん(奇しくも同じイニシャル)と共に、ここ数年の木管セクションを盛り立ててくれたO.Aさん、そして彼女もまたこの3月を以てGフィルを定年退職されたのである。

可愛らしいお姉さま

未だに信じ難い。「定年」と聞くと、どうも白髪の爺様を連想するが、一体彼女の何処がどうして60歳なのか!? それほどまでに今でも若々しくて、可愛らしい方なのである。プライベートではご結婚もご出産もされ、そのお子様ももうとっくに社会人となられているが、しつこいようだがやっぱりそんな風には見えない。

…と、ここまで言えば何だか「上から目線」で述べているように感じられてしまいがちだが、実はO.Aさんの事はまるで姉のように(自分には姉がいないが)自分は頼りにしていた。自分が2nd.や3rd.に座り、O.Aさんも同じように“下吹き”として真後ろに座っていると、それだけでもう安心だった。実際オケでは2nd.Fl.と2nd.Cl.がオクターヴ・ユニゾンで動く場面が沢山あるのだが、いつも優しく支えられている感じで、意外とこれは他の奏者だとそうでもないのだ。

そういえば、過去にとある酒の席でO.Aサンにちょっと身の上を打ち明けて、思わず涙してしまった事もある。親身になって自分の話を聞いて頂いた時の事は、今でも忘れない。楽しい思い出も尽きない。精神的にもとっても頼れる人生の先輩だった。

そしてお別れ

そして先日、彼女にとって最後のGフィルのステージ終了後にお別れのイヴェントがあり、その後今月4日にはその“卒業”記念コンサートが都内某所で開催された。このコンサートにはそれまでGフィルにゆかりのあるクラリネット奏者等が集まって九重奏等あったが、自分もその際に1曲アレンジを謹呈させて頂いた次第である。これまで30年間の感謝と愛を込めて。

またいつか何処かでご一緒できるだろうか?

末長くお元気でお幸せに…(涙)

記念撮影でも1人だけマスクを外し忘れるという天然ぶり(笑)エライ!
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