レッスン・教室

失礼な幽霊

長らくフルートを教えていると、たまにとても嫌な思いをさせられることがある。単刀直入にいうと、生徒が何の挨拶も連絡もなく、パタッとレッスンに来なくなるのだ。何かトラブルにでも巻き込まれているのか?と心配になってこちらから連絡入れてみるも、メールにせよ電話にせよ、全くの無しの礫だ。

こういう生徒が1人や2人ではない、これまでに何人もいるのだ。しかも普段性格や人柄に何か問題がある人という訳でもなく「あんな感じのいい人に限って…」みたいな事もある。自分が勤務しているレッスンセンターでも度々そういう人がいる。ここの生徒さんとの連絡は自分がするのではなく、必ず受付スタッフを通すので、スタッフさん達も甚だ困っているだろうと察する。

そんな失礼極まりない人たちの例をいくつか簡単に挙げてみると…

発表会が終わると…

まるで「発表会の終了=レッスンの終了」みたいに突然連絡がつかなくなる生徒がいる。一番記憶に新しいところでは、とある中学生。発表会後に約束していたレッスンを無断欠席し、未成年なので道中何かあったかと心配し、親に連絡してみるが携帯電話は何度かけても通じない。その後この保護者にメールをしても送信はできるが全く反応なし。保護者なら自分の子供の事だから何かしら責任を持って対応すべきなのに…親子共々すっぽかしてくれた体で、失礼にも程がある。因みにこの母親は生徒のお姉様かと思ってしまう位若い方だった。つくづくいろいろな事情を想像させられる。

同じように発表会後にうんともすんとも連絡をせず、そのままドロンしたもう1人の生徒は、何と学校の教師という模範的職業の人であった。発表会では伴奏の譜めくりまでやってくれて、とても協力的だったのに、何故!?という状況。同じく全く連絡が取れず、もしかしたら本当に「幽霊」になってしまったのかも知れない。学校の先生ってやっぱり普段から精神的にかなりダメージを喰らっているのか?

人は見かけによらない

それにしてもこの幽霊達の意外な共通点は、一見とてもそんな風には見えないという事だ。逆に、妙にレッスン中はテンションが低そうだったり、何か不満そうだったり「この生徒さん大丈夫かな?嫌なのかな?」なんて感じの人に限って、とても長続きしている。そして勿論それなりに確実に上達している。つくづく人は見かけによらないものだ。

それまで続けていたレッスンを止める時は、どんな理由でもとにかく先生に何か連絡をするのが最低限の常識というものだ。別に「嫌になったから」でも「やる気が失せた」でも構わない。だがまるで本人がこの世から消滅したかのように何も連絡が通じないとなると、何か別のトラブルにでも巻き込まれたのか?と心配してしまうのだ。

尤も初回レッスンの際、生徒さんの名前(&保護者名)住所電話番号メールアドレス等の個人情報をしっかり記入してもらうので、この「幽霊」達については、こちらが本気になればいつでも追求はできるし、然るべき事務所等に相談も可能である。が、いちいちそれに気を遣うのも面倒なのである。余計なエネルギーを使いたくないのだ。

しかしながら、このあまりにも非常識な人達は、社会では上手くやっていけるのかどうか…目先の日々ではなく、遠い将来必ず何処かで信用を失うことであろう。「あの人は信用できない」というレッテルを一回でも貼られると、その後の立ち直りはかなり難しいという事は、世間一般の様々な事象からも解る事である。最早自分には関係ない事だが、残念ながらウチのブラックリストには名前が載ってしまったので、仮に再び連絡してきても二度と受け入れることはしないだろう。

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