これは舞台の上部だが、とても美しくて響きも良く、小規模のコンサートには申し分ない空間である。このコロナ禍、こうした小さなホールでは、それなりに感染防止対策も徹底しているのだろう。とはいえ…
今回は「チケット」というものがなく、事前予約制。当日の精算も行わないので、入場料は完全振込制だ。演奏者への贈り物はおろか、終了後の面会すら許されない。
このホールはビルの4Fにあるが、先ず1F入口のエントランスの時点で検温とアルコール消毒がある。更には次亜塩素酸ナトリウムが含ませてあるシートの上で2〜3回足踏みさせられる。靴裏の消毒にはあるが、同時に漂白作用もあるので、靴によっては注意しなければならない。こんな事は初めてだが、ここまではまだぎりぎり容認できる。
エレベーターから出て会場に行く前に、一旦座席を確保したらもう一度洗面所で手を洗うよう指示される。さっきアルコール消毒したのに、まただ。洗面所とはいっても個室トイレに備え付けの洗面台なので、半ば強制的に2室しかないトイレに入らされる形となり、狭い通路には自ずと行列ができて“密”になる。
極め付けは休憩時間だ。何とお客は全員一旦退出させられる。空気の入れ替えだそうだ。そんなのは人が居たってできるのに。で、無理やり移動させられた先が最悪だった。テラス付きのカフェとはいうが、さっきのホールの半分もない狭さで窓も小さく、しかも皆一斉におしゃべりし始めて最早小池都知事も怒り出しそうなレヴェル。ガラスには直射日光が当たって温度も上がり、空気が澱んでくるのが目に見えそうだった。
ホール側としては、1人の感染者も出させまいとする意気込みかも知れないが、こんな超密状態ではどんなに手足を消毒させても意味が無い。こんな目に遭わされたお客は多分今日だけではなく、他の日にも何十人何百人といるかと思うと、結局ここで、この場所で新型コロナウィルスに「感染経路不明」で感染した人も絶対いると思う。
このサロンの管理者は多分頭が悪いのだろう。だが、折角のコンサートの余韻を台無しにしたくないので、自分は黙っていたし、他のお客さんもそうだったに違いない。しかしながら、次回会場がまたここなら足を運ぼうかどうしようか、躊躇してしまう人も少なくないのではないか。
少なくとも自分のコンサートでは、ここは絶対に借りないつもりである。