ソロ・アンサンブル

レコーディング・レポート(準備編)

自分の初CD「YUMOJAZZ!?」は、作曲・演奏・レコーディングから編集まで全部自分一人で行った、当時の自作の集大成みたいなアルバムであったが、今回の2枚目は、別の意味での「自分らしさ」を追求するそれであると思う。

きっかけはやはり昨年のリサイタルだった。メインで演奏したベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」が、本番が終わった後も頭から離れず、ならばCDとして後世に残し、このフルート版を是非共多くの人々に聴いて頂きたい、という思いから今回の録音へと構想が発展した次第である。

とはいえ、クロイツェルだけではCDとしては商品にならず、別のヴァイオリンソナタをもう1曲足したい…では何がいいか?
そこでチョイスしたのが、いうなれば自分の“記念曲”ともいえるフランクのソナタである。この曲は自分の大学院修了演奏会のメインであり、その数年後の初リサイタルのメイン曲でもあった。

録音業者は旧友のM氏がやっている「opus55」に即決でお願いした。次にホールだが、ここで吹くと気分いいだろうなァ…と、目星をつけている所が3ヶ所あった。一つは都内某所、もう二つはさいたま市内の公共施設「プラザイースト」と「プラザウエスト」だ。
各所空き状況や利用料アクセス等、いろいろ吟味したが、決め手になったのはピアノだ。緑区にある「プラザイースト」には何とベーゼンドルファーがあったのだ。駅からのアクセスは決して良いとは言えず、路線バスで15分、こんな素朴な立地のホールにこんな銘器が備えてあったとは…。早速スケジュールを調べて、仮予約する。

プラザイースト

今回の録音曲は2曲共ピアノ伴奏が(果たして伴奏と言って良いのか、と思える程)重要な役割を果たしている。そしてその共演者は、最初っからもう昨年のリサイタルでお世話になった池田葉子さんにお願いするつもりでいた。そしてめでたく快諾を頂き、先ずはそのベーゼンドルファーの試奏に二人でホールを訪れたのが、今年の5月だった。

そもそもこのホールには、実は嘗て「さいたま市ジュニア・ソロコンテスト」の審査で来てはいるのだが、ベーゼンの存在については全く知らなかったので、どんなピアノなのかは何とも言えず…解っていたとしても、何より池田さんご本人に弾いて頂かないと話は進まない。倉庫に眠ったままのピアノだったらどうしよう…だがしかし、そんな不安も一発で吹き飛ぶ位素晴らしい楽器。早速11月の27&28の丸々二日間を確保、いよいよ舞台は整った。

そして夏から秋にかけて、二人でリハーサルを重ね、11月に入ってM氏とプラザイーストの舞台担当者と打ち合わせ、いよいよレコーディング初日を迎える。
(次記事へ続く)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です