41年前のリベンジ
昨年、チリ演奏旅行に行って来たGフィルは、国内でもこれまで度々地方公演を行っているが、先週は初の和歌山公演だった。演目はモーツァルト作曲のオペラ「魔笛」(演奏会形式)。現学長の澤和樹先生が自らタクトを振った。澤先生はこの和歌山県の出身だそうで、さしずめ故郷での凱旋公演とでもいったところか。会場は満員の大盛況であった。
さてオケの話はここまで。折角和歌山まで来たので、宿泊先の目の前にそびえ立つ名城:和歌山城と、その隣にある県立近代美術館を仕事の合間に見学。
和歌山市は県の西端にあり、そこから南紀白浜や熊野古道等満喫するには、かなりの距離を移動しなければならないのだが、逆に大阪や奈良までは1時間足らずで行ける。そこで今回は本番の翌日に奈良市に寄り道して帰京する事にした。
古都奈良といえば、真っ先に思いつくのが“大仏様”と“シカ”だ。大仏様の居る東大寺には、自分が中学生の時に1回修学旅行で訪れた事があるが、当時の大仏殿は改装工事中で殆ど観る事ができなかった。何より終始団体行動だったので、南大門にある運慶&快慶のあの「金剛力士像」の迫力も、他の仏閣のスケールの大きさも、そして盧遮那仏(大仏様)の深い表情もあまり理解できず終い。今回は、いうなればそんな41年前の因縁を晴らすべく、隅々まで堪能してきた訳だ。
大仏殿
盧遮那仏
…の裏側
案の定、この日も沢山の修学旅行生が来ていた。その生徒達に混じって、さりげなくガイドさんの解説に聞き耳を立てる。生徒達は間もなくワッと去ってしまうが、その場所に長くいるとまた次の団体がやって来て同じ解説を聞く事ができる。因みに大仏様の側にずっと居ると、必ずと言って良い程「あれはパンチパーマではありません」というウケ狙いの解説が何度も聞こえてきた。
何にせよ、一つひとつじっくり鑑賞してその芸術性を味わうには、それなりに時間が必要だ。前日の美術館にしても、先月の「ジョジョ原画展」にしても、独りでこうしてじっくりマイペースで巡れるってのは、つくづく幸せだなと最近特に感じる。
芸術の秋、今年もワクワクする展覧会が続くので、暇な時に足を運んでみるつもりである。
ところで、この日の奈良公園はシカよりも多かったのが外国人観光客だ。帰るまでに、見事に全ての世界の主要言語が聞こえてきた。本当に昔に比べて激増した実感がある。帰りの新幹線まで、隣の席はドイツ人カップルだったし。