ブラスバンド,  日常・趣味

元弟子の結婚

結婚式に招ばれたのは何年ぶりだろう?色あせた白ネクタイがその長い年月を象徴していた。ここ数年、いや十数年の間、毎年1回は同じ祝儀袋でも不祝儀用ばかり使っていたが、今回は鶴を象った水引の紅白の祝儀袋を携えて東京の「八芳園」へ。
新郎K・K君は且つて音大受験に際し、自分が面当を見た生徒だった。音大を目指す=プロのフルーティストを目指す男子、となるとこちらも死ぬ気でやるしかない。正直、当時はあまりパッとしない笛だったので、相当ビシバシとシゴいたと思う。もう20年以上前の事なのであまり詳しくは憶えていないが。
程なくして彼はK音大に入学&卒業し、その後何して生きているのか、消息も聞こえず、心配していたが、数年後、自衛隊の音楽隊に入団したという情報が入った。最初は耳を疑った。小虫も殺せなさそうなあのヒョロヒョロのフニャフニャが自衛隊に!?
音楽隊といえども、自衛隊である以上、厳しい訓練がある。走ったり潜ったりぶら下がったり見張りをしたり。そんな中で彼は見事にその職務をこなし、数年前に再会した時にはガッチリとした体格になり、立派な好青年になっていた。因みに今日の新婦も同じ音楽隊のクラリネット奏者、いわば職場結婚だが、現在の勤務地は違うそうだ。

実は「結婚式」に出席するのは初めてだ。チャペルでの厳かな一連の所作を見ているうちに、そんな彼の立派な成長ぶりに、まるで自分の息子でも見ているかのような感動を覚える。披露宴はそんな訳で多分出席者の半分は自衛隊関係。自分は烏滸がましくも一番前のテーブルで、隣席には中央音楽隊の隊長さん(そう、KK君は今や出世して何と陸上自衛隊の中央音楽隊に属しているのだ!)。顧みれば来賓のスピーチはこの隊長さんだけで、ケーキ入刀やキャンドルサービスもなし、余興もなし、そして何より「媒酌人」が居ないという、実にコンパクトで無駄のない(と言って良いのか判らないが)とても気持ちの良い宴であった。自分宛てのメッセージに、音楽に接しているのは自分や家内のお蔭ですなんて書いてあると(且つてあんなに罵倒したのに…なんてイイ奴なんだ)なんて目頭が熱くなる。
感動の一日であった。今後も若手のホープとして活動を続けていく頼もしい存在だが、彼自身は昔っからとても優しくて他人の批判などしない、人として尊敬できる素晴らしい男性なのである。末長く幸せな家庭を築いていく事であろう。

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