ソロ・アンサンブル

さいたま市ジュニアソロコンテストを聴いて

昨年の同コンクールでは、2日間に渡る予選を審査させて頂いた。子供達の無垢な志を生で感じていちいち感動したものだ。
そして今回は、南区にあるさいたま市文化センターにて開催された本選を審査させて貰った。審査員は自分を含めて5人。ガクタイの世界は狭いので、やはりその中にはよく存じ上げている大先輩などいらっしゃり、光栄であった。

さて、今回の参加者は昨年よりもさらに多く、400名を超えたそうだ。その中で本選出場者は54名(うち小学生12名)10時から約5時間、彼らの熱演が延々と続く。自分は例によって講評を書き綴って手が痛くなりながらも、1人ひとり真剣に聴かせて貰った。
それにしてもほぼ全員、とてもいい音がしていた。どんな楽器もまずは音色である。管楽器だけでなく打楽器も。弦楽器も鍵盤も、そして声楽も。ハナッから力強い音を求めようとして力むことなく、素直に発音するところからその楽器を始めている点がとても聴いていて心地良かった。皆んなこのまま地道に努力して更に音色に磨きがかかってくれればいいと思う。
それでもコンテストというのは、点を付けそして順位を決めなければならない。本当は全員に金賞をあげたかったなと思いつつも、金銀銅それぞれ21,18,14名と振り分けられた(1名は体調不良により残念ながら棄権)。また、合計点が一番高かった子から順にさいたま市長賞、さいたま市教育長賞、主催者理事長賞が与えられた。また、それとは別に(合計点の高低に関係なく)印象的かつ将来性を感じる演奏には審査員特別賞が小学生中学生、それぞれ1名ずつに与えられた。
ここで審査員を代表してO先生よりコメントがあったが、次のような内容であった。
「音楽は読んで字の如く“音”を“楽”しむもの。是非楽しんで演奏して下さい」
「先生やご家族等、周囲の方々への感謝の気持ちを忘れずに」
「大人になっても是非(どんな形であれ)音楽を続けて下さい」
まさにその通りであり、この言葉に感銘を受けた。予選では審査が終わると一人ずつ模範演奏してからそのまま退館できるのだが、この本選の場合は演奏後もこの表彰式に同席しなければならない。だがしかし、このように市長さんやこのO先生による含蓄のある話が聞けて、そして何より表彰の際の子供達の頑張った後のあのピュアな表情、親御さん達の喜びの表情…いろいろな顔が舞台上から見ることができて、本当に良かったと思う。
因みに今回審査員による演奏では、自分はピアソラの「タンゴ・エチュード」を演奏した。曲が曲なので一旦背広&ネクタイから黒シャツに着替えて。講評ではフルートの呼吸法についてちょっと話をしたが、省みれば去年と同じ話だったので「またか…」と思った子がいたかどうか?
この素晴らしい企画、今後もずっと続けて欲しいし来年以降も(都合が合えば)是非審査させていただきたいと思う。

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