最悪の糞餓鬼
およそ半世紀前のとある幼稚園。
Y君は最悪の園児だった。友達はいたが、一緒に遊ぶと大体喧嘩する。かくれんぼで鬼になると探さないで帰ってしまう。砂場で他の子が山を作っていると「怪獣だぁ」となだれ込んでいきなり踏み潰す。自分で勝手に転んだのを側にいる人のせいにする。禁止されているのに滑り台を立って滑って落ちて怪我。勝手に始業ベルを鳴らして園庭の園児達を全員引き揚げさせる。朝礼で園長先生がお話ししている最中に,隣の子と取っ組み合いの喧嘩になり、朝礼が終わってみんな教室に引き揚げる中、この二人だけ寒空にポツンと立たされっ放しにされた。遂には「Y君が居るから幼稚園に行きたくない」という子まで出た。
このY君、実は自分である。今の自分がその場にいたらブチのめしてやりたい糞餓鬼だ。こんな園児なので当時の担任〜確かアライスミコ先生だったな〜は相当苦労されたに違いない。本当に,本当に申し訳ない気持ちで一杯であるm(._.)m m(._.)m m(._.)m…..
となると、こういう子は家では結構甘やかされて育ったのでは?と思われるであろうが、ところがどっこい!母親は鬼のように怖かった。その頃の母親は未だ20代、血の気が多かったせいか、よく箒の柄で尻をぶっ叩かれてミミズ腫れができた。全身泥まみれで帰ると、激怒してこの息子を素っ裸にして庭掃除させたり。
父親も同じように怖かった。何故逆鱗に触れたのかは憶えていないが、折角買って貰ったウルトラマンのビニール人形を、その日のうちにバラバラに解体されてしまった事もある。
もし現代でこのような事が起こったら、この親といい,幼稚園の諸々といい、そして何よりこの糞餓鬼(自分)といい、すぐにネットやメディアが問題視するであろう。やりたい放題やって,その分ボロクソに怒られて育った少年時代だったが、今思えばこの昭和後期はいい時代だったな〜とも思う。
現在の同幼稚園(平成25年)
因みにこの頃は音楽とは全く縁がなかったが、何故か小学3年生位の頃、家にはオルガンがあった。ピアノを習っているクラスの同級生が,学校で「オールド ブラック ジョー」を弾いているのを自分は傍で見て憶え、帰ってこのオルガンで再現したら、この母親は感激し、何かというと「ドボルザークのオールドブラックジョーを弾いておくれ」と言ってきたものだ。
因みに「オールド ブラック ジョー」の作曲者はドヴォルザークではなく、フォスターである。
そんな母がこの世を去って、今日で19年。合掌。