オーケストラ,  藝フィルレポート

100人

器楽科の大学院の履修科目のひとつに「管弦楽実習」というのがある。これを履修すると藝大フィルのエキストラとしてコンサートに出演し、単位が取れるという制度で、自分も院生時代は沢山の本番に乗せて貰ったものだ。
時には「第九」のピッコロや、1番フルートまで担当しては、周囲の冷たい視線攻撃を受けたり…だがこれがもの凄く勉強になった。

さてその後自分がこのGフィルに入団し、今度は逆にエキストラの院生を指導する立場となる。これまで30年以上もの間、こうして隣りで入れ替わり立ち代わり一緒に吹いてきた大学院生は、今年度遂にのべ100人を超えた。
その内実際プロオーケストラの団員になっているのは15人位か。N響Y響S響T響NフィルTフィルetc…皆活躍していて何よりである。

何処のプロオケでも、エキストラにとって大切なのは、とにかく時間を守る事、次に「挨拶」だ。特に初めてそのオケに乗るような“若造”はセクションのメンバーは勿論のこと、もしかしたら隣近所のパートにも自己紹介しておいた方がいい。
その点得てしてフルート科は、昔は無愛想で印象悪い学生が多かったが、最近はそうでもなくなってきた。担当教官の指導にも因るのだろう。一般的に木管より金管楽器の学生の方がそういう意味では礼儀正しい。ある時はチューバの学生が真反対の位置にいた自分にまでわざわざ挨拶に来たことがある。

尤もこの「管弦楽実習」を、どういう理由で履修しているかにも因ると思う。本当にオケをはじめ、合奏に関わるスキルを身につけたいか、はたまたそんなのには興味が無く、ただ単に単位を稼いでおきたいだけか?
100人超えた現在ともなると、その辺の区別が隣りで吹いているだけで、何となく自分には判るようになってきたかも知れない。

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