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手作りストッパー

3年前の記事「スタンダード奏楽堂デビュー」にて、マイ愛器が椅子の下敷きになって重傷を負ってしまった話を書いた。それからというものの、この持ち替え用の椅子の配置については常に神経を尖がらせている。この3年間、ずっとだ。
木管楽器用のひな壇は、そのシリーズの編成によっては横にずっと長く続く場合もあれば、丁度自分の所で切れる場合がある。この時の持ち替え椅子の位置はこんな状態。

ここに楽器を置く事が如何に危険かは、一目瞭然であろう。そしてその悲劇は、その3年前に起こってしまったのである。
その後、スタッフにこのヘリ(黒い縁取り部)にストッパを付けて貰えないか、何度か頼んでみた事があったが、あまり芳しい応えでは無かった。曰く、ひな壇への昇降時に楽員が足を引っ掛けて転ぶ危険性があるとの事。
至極もっともである。実際(ストッパは無かったが)以前、本当にひな壇につまづいて転び、肋骨を骨折してしまったホルン奏者がいた。
どうしたものか、しげしげと眺めているうち、縁部分にあるひな壇同士を繋ぎ合わせる為の3cm程の穴に目に止まる。これを活用できないか?

そんな訳で作ってみたのがこれ。DIYの店に行くと、こういった「金折」という金属素材が沢山売っている。これらを選り抜いてボルトやナットで組み立て、椅子の足を固定する部分は100円ショップにてクリップを買って付けた。
これを連結用の穴に差し込んでみる。効果は抜群で、もうこの持ち替え椅子が滑り落ちる事はない。強いて欠点を挙げれば、ほんの5cm程右膝周りが狭くなった事か。

だがそんなのは、自分がその5cm程左にずれればそれで済むことだ。かくして、持ち替え椅子の問題は解決。しかし何か、釈然としないものが残る。
初めに「ストッパ的な物を付けて貰えないか?」と頼んだ時に、スタッフは多分縁に角材を打ち付けることを想定したのであろう。ひな壇のセッティング時にいちいちそれをするのは面倒だからかどうかは別として、今回自分が作ったこの器具的な工夫までは考えてくれなかったのが、何となく不満だ。要するに『なんで俺が考えなきゃいけないのか!?』という事だ。「危険だから」と一蹴されたが、考えてみればこの部分を通って出入りする楽員なんて、自分を含めて誰もいないし…。

とはいえ、こういう類を自分で考えて作る事は、好きであり得意である。多分親父譲りなのであろう。だから、仮にスタッフが何かしてくれたとしても、どうせまだ何処か「違う」とか「不満」とか言っている自分が目に見えそうである。

それにしても、オケの仕事中に楽器が壊れるなんて、絶対体験したくない事だが、やっぱり経験した者でないと、ここまでセッティングに敏感になる気持ちは解らないであろう。椅子だけではない、譜面台や楽器立ての配置についても然り。兎角オケのステージは、何かと狭苦しくて危なっかしいのである。

自分などは休憩時間に席を離れる場合などは、必ず楽器をケースにしまうが、椅子や楽器立てに楽器を出しっ放しにして離れるメンバーもしばしば。まあ楽器によって事情もあるだろうが、何かアクシデントがあって楽器にダメージがある場合、そのダメージを与えるのは多分他人である確率が高い。そうなると与えた方、持ち主、両方悲惨な目に遭うだろう。
こんなちっぽけな器具を作り終えた時、そんな事をつくづく思うのである。

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