あれから1年/今だから話せるエピソード
湯本フルート教室の第4回アンサンブル発表会を明後日に控え、忙しい日々を送っているが、そういえば丁度1年前の今日はチリに居たのかと思うと、改めて月日の経つスピードの早さを実感する今日この頃である。
全行程の11日間中、4日間は飛行機または空港の中にいたという遠さだが、それ以外の7日間もとにかく『『『忙しい』』』というイメージしかなかった。仕事以外でも観光やお土産探し等の時間は、やはりどうしても「◯時までに」という制限があったし。
この演奏旅行の約5ヶ月後、昨年11月にこれの記念演奏会が奏楽堂にて開催された。その時、チリ公演参加者全員に頂いたのがこの立派な記念アルバム。
忙しさのあまり、それ程記憶にも留めていなかったが、これを開くと「ああ、こんなこともあったか」なんて懐かしい写真も。
さてとにかく1年が経ち、今だから言えるエピソードもあれこれ。
「もうワインはありません」
東京→パリの機内。あの窮屈な席に12時間も座ってじっとしているなんて、土台無理な話である。トイレに立つ際には洗面具・タオル・カメラ等いろんな物を携え、すぐには戻らないつもりで洗面所の手前の小さなスペースでオケの仲間や他の乗客と仲間と喋ったり寛いだり。
こんな美しい風景を窓越しに見ながら、言葉の通じないフランス人のオヤジと盛り上がったり。で、そこにはそんなお客がセルフで自由に飲食できる物が置いてある。その中でも嬉しいのはワインだ。エールフランスのワインは特に旨い。おかわりは客室乗務員さんに頼めばすぐ補充してくれる。補充してくれるが、所詮は機内、限りがある。最後には「もうこの飛行機にはお食事に出す分以外はありません」と軽く怒られてしまった。つまり殆どGフィルの男共が飲み干してしまった訳で。パリに到着した時、皆二日酔い状態だったのは言うまでもない。
コスタネラ・センターからメルケンが消えた
何日目かの昼食をレストラン「ホテル日本」にて摂っている時に「何これ美味しい」と話題になった七味唐辛子のようなふりかけ。聞けばチリにしかない「メルケン」という香辛料だそうで、早速買いに行こうという話。
とはいえ、初めての南米の地で何処をどう探せば良いのか判らず、差し当たってホテルの近くにあって、とりあえず安全そうなショッピングモールへ。それがこの首都サンティアゴで一番高いビル「コスタネラ・センター」だ。この話題は自分が聞くよりも随分前にGフィル中に広まり、自分が買いに行った時は既に品薄状態。そして自分も残っていたメルケンをカゴに入れて…という訳で、あの「AEON」並みに大きいスーパーなのに、ここにあるメルケンは一つ残らず全てGフィルのメンバーが買い占めてしまったのである。地元の人達は困ったかも知れない…。
コントラバスのプロフェッショナル達
オケの演奏旅行の悩みのタネの一つに、楽器の運搬の件がある。大きい楽器で自分のが使えるのは今回チェロまでで、大型打楽器とコントラバスは現地のそれを借りるという事だった。このシリーズ初日に指導した地元青少年オーケストラ「FOJI」の楽器を使ったそうだが、特に低音の大黒柱を務めるコントラバスがちょっとした話題になった。見た感じちょっと古そうだが、最も違うのは“音色”だ。普段はいつも下で「ゴーッ」となっているので気づかないが、よりによって今回はプログラムの1つ:松下先生の「飛天遊」でSoliがある。その音色が専門外の自分でさえ解る位特徴的なのだ。現地入りして最初のリハの時には正直「変わった音だなァ」と苦笑していたのだが…。
4人の奏者達は見事にその楽器を上手に弾きこなしていったようで、25日&27日の本番ではほぼ違和感なく聞こえた。特に27日の最終公演では実にいい音が響いていて、流石はGフィルが誇るプロのコンバス奏者達だな、と敬服した次第である。
記念アルバムより
やはり、忙しくも楽しく貴重な体験のチリ公演であった。
こんな懐かしい裏話、また思い出したらこの記事に書き足していこうと思う。