オーケストラ,  藝フィルレポート

子供達に囲まれて…….

昨日は昨日でGフィルのこの時期恒例、「障害とアーツ」の本番だった。
毎回毎回、このシリーズは実に素晴らしい企画だと思う。何らかの身体の障害を乗り越えて音楽に芸術に勤しんでいる人達を、プロ・アマチュア関係なく紹介し、また障害を持つお客さんに対しても様々な工夫を凝らしてコンサートを楽しんで貰える、そんな心温まる2日間だ。しかも総て無料。勿論健常者も未就学児も聴き放題、参加し放題。様々なアートを肌で感じる事ができる。対外的にもっともっと宣伝しても良いのではないか。
教科書に出てくるような名曲が並び、時には映像も付いて聴覚障害者の方でも楽しめるプログラムもあれば、障害を持つソリストを招いてオケと共演したり。今回は片腕のギタリストをチリから招いて自作曲を演奏。
1205img_0364ギター:アンドレス・ゴドイ
また全盲のソプラノ歌手も、素晴らしい歌声を披露していた。
さてコンサート終盤では毎回「オーケストラの中に入ろう」というコーナーがある。障害の有無を問わず、老若男女誰でも舞台に上がって来て、身近に聴く事ができるこのコンサート独自の企画だ。
なので、楽員の座る椅子と椅子の隙間のそこここに小さい子供達がチョコンと座ってじっと聞いている訳だが、今年は自分の周りにやけに群がっていた。挙げ句の果てにはこんな状態に…
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断っておくがこれ、本番中である。特に小さい子は立ち上がり、他の子もそれを見て真似する訳で、自分の楽譜など見えたり見えなかったり。自分も今何処を吹いているか示してあげると、それを一緒に指でなぞったり(でもズレてるし)…で、それを横からたしなめるお姉さんとかいたり…
尤も、そういうコンサートなんだから自分は全く気にならない。曲もお馴染みの「ラデツキー行進曲」だからもう暗譜してるし。それにしてもこんな近くでピッコロを吹かれると、逆に相当うるさいだろうと思ってふと子供達を眺めると…
みんな補聴器を付けている。
そう、この子供達は皆聴覚に何らかの障害を持っているのだ。
我が子のこの事実を知った時の各親御さんの気持ちを想うと、胸が張り裂けそうだ。そんなのに比べりゃ目の前の譜面が塞がれるなんて全然大したことではない。何だか可哀想になって、自分も精一杯楽しませてあげるつもりで吹いていた。
演奏が終わったら、右隣にいた女の子がとっても嬉しそうに何か話しかけてきた。手話で。自分には手話は解らないから、ただ満面の笑みを以って頭を撫でてあげること位しかできなかった。
いつも思うのだが、彼等の、子供達のそんな様子から逆に自分が元気を貰うような気がする。一年の疲れが蓄積する年末、決算とか掃除とか年賀状とか、正直言って面倒臭い事ばかり続くが、やる気を引き起こして貰えるような本番なのであった。

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