ソロ・アンサンブル

経営者が替わると…

先日、師匠と一緒に、とある老人福祉施設にてボランティアコンサートに出演して来た。
毎年秋、西船橋にあるこの施設での演奏はもう5回目となるが、昨年は師匠の都合により1回お休み。今回2年ぶりに訪れた。
プログラミングは全て師匠がやって下さり、純クラシック曲から童謡までヴァラエティに富んだ選曲。そして最後には「ふるさと」等、“一緒に歌いましょう”シリーズで締めくくる。
ピアニストは師匠の同級生の方で、要するにお二方共もうそろそろ喜寿が見えてきそうなご年齢だが、両者頗るお元気である。寧ろ自分の方が風邪気味でこの日は疲れていた。
さて、コンサート自体はとても和やかに終える事ができたのだが、ちょっと気になる事があった。
この施設、中身は変わらないが実は途中で経営者が替わり、名称が変わっている。名前なんて自分にはどうでもよいのだが、何かこう…玄関をくぐった時の空気が違う。
いやちゃんとセッティングはされていたし、職員の人もすぐに現れた。だが何かオドオドしていて何処に案内すればよいのか困っている様子。そういう時は師匠の方がシャキシャキしていて「前回この部屋が控え室でしたけど」「この部屋は◯時から予約が入っていまして…」結局、衣装に着替えたらリハビリ室に荷物移動することに。空いている部屋は他にもあったのに…。
演奏体制も整い、いよいよ時間となっても…誰も呼びに来ない。お年寄り達はもう集まっているようだ。思わずこちらから「もう出ていいですか?」「あ、はいどうぞ」という情けない会話。そんなこんなをまあ箇条書きに並べるとこんな感じ。
【控え室】
前回まで:2部屋きちんと用意。
今回:用意されていない。
【飲み物】
前回まで:控え室にお茶菓子が備わっていて係の人がお茶を出してくれて、更に1人1本ペットボトルが用意されていた。
今回:何もなく、喉が渇いたので自販機で水を買って飲んだ。
【ピアノ】
普段は酷い調律だが、前回前々回などはこのコンサートの為に調律してくれたようだ。
今回:調律したと聞いて期待して行ったが、実際は酷かった。多分その調律したというのは去年位の話であろう。
【花束】
前回まで:1人1束ずつ頂き、持って帰るのが大変という嬉しい悲鳴。
今回:誰も頂かなかったので帰りは楽だった(?)
【交通費】
前回まで:毎回1人3,000円程度頂いていた。
今回:全く支払われなかった。マイナンバーでも必要なのか?
とまあ、経営者が変わると、随分変わるものだ。施設にとっては1銭もかからなかった訳だ。お金がないのか?とにかく、師匠がこれに不満を示さない訳がない。淡々と自分に向かって語り、怒っていらっしゃったが、自分にぶちまけても仕方がない。自分も埼玉県のアーティストボランティア関連で、あちこちで演奏しているが、同じ施設にここまで冷遇されるのは初めてだった。
来年も師匠はこのお話、受けるのかな?とちょっと心配しているが、まあ待遇云々よりも、年に1度このいつまでもお元気なお二方と楽しくお喋りしながらアンサンブルできるのが自分にとっては楽しみではある。お年寄り達もとても喜んでくれたし、まあ良しとしよう。
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ところで、この写真は自分のiPadによるその時の映像だが、たまたま段ボールが積み重ねてあったので、その上にセットさせて貰った。その時、背広姿の男性が2人、近くにやって来て何やら喋っている。どうやら本社の社員がこの施設の責任者を相手に、あちこち視察しているようだ。その時の2人のやりとりにちょっと耳を疑った。
「何でこんな所に箱なんか積んであるんだ⁈邪魔じゃねーか」
「はい、すみません」
少しは頭使え。馬鹿が!
こういう会話をこの自分に聞こえるようにしている事自体、異常極まりない。近年様々な福祉施設で事件や事故が起き、結局犠牲になるのが入居者の方だったりする。
その背景に経営側のこういう非人間的な日常があるのではないかと、本当にここの施設の将来が気になった。

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