ソロ・アンサンブル

アルトフルート・レポート

ギター橋爪晋平氏との愉しかったデュオコンサートからはや1ヶ月。ここでは武満徹氏の「海へ」をはじめ、数曲でアルトフルートを用いたが、ひとつの本番に向けてこんなに沢山アルトを吹いたのは初めてだった。
普通のフルートよりもひと回り太く長く、そして重いとなると、その疲労度はやはりハンパない。なまじチョコマカと動く曲よりも「海へ」みたいに長い音が延々と続く曲の方が、よりずっしりと肩から手首にかけて負担を感じる。
本番では3曲吹くが、とにかくこれらを吹きこなす為の身体を作っていかねばならない。
そこで試してみたのがこれ。両腕に2kgの重りを付けて吹いてみる。
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しかし意外にもこれは逆効果であった。腕は重くなるが、手首に対して楽器は逆に軽く感じる。なのでこれを外すと、特に右親指にかかる負担が返って大きくなってしまった。かと言ってわざわざ楽器を重くする事もなかろう。
やはり、基本的に楽器を支える為の筋肉を鍛えておこうと、スポーツジムにて20kgの鉄棒を楽器の様に構えて上下運動を繰り返してみた。週イチ程度だが、結局これがまあ一番効果的であったか。ここ1ヶ月程の間で、大分構えるのは楽になってきた。
更には長く吹き続ける為の口周りの持久力を付けるべく、できるだけ長く吹き続ける。あまり間を入れずに何度も繰り返す(あたかもそういう曲であるかのように)。ガンガン吹き込んでバテてきたところでその日はもうアルトは止めてケースにしまい込み、休憩してからフルートやピッコロに移る。
…まあこんな風にして、本番まで身体と気持ちを作ってきた。奏法や運指が同じとはいえ、やはりアルトもピッコロも普通のフルートとは別の種類の楽器である事を痛感している。ひとつのコンサートの中でこれらの楽器を持ち替えるという事は、それなりの柔軟性とスタミナが必要なのである。
さて、今月はアルトフルートを使う大事な本番がもうひとつ。
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メイン・プロ「春の祭典」、これまでこの曲ではピッコロばかり吹いていたが、今回は久々にアルトを担当。呪文のようなこのパート、とても楽しみである。


【付録】デュオコンサートでは「海へ」の他に編曲モノを2曲アルト用に採り上げた。バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタとストラヴィンスキーの3つの小品。これらを本番の3日前にゲネプロよろしく通してみたが、今回その映像をこの度YouTubeにアップした。

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