ソロ・アンサンブル

橋爪晋平氏のギター・リサイタル

今度のデュオコンサートで共演予定のギタリスト橋爪晋平さんが今年の2月にソロCDをリリースし、その記念リサイタルを聴いて来た。
会場は豊島区にある「雑司ヶ谷音楽堂」。小じんまりとした所にある小じんまりとしたホールであるが、この通り素敵な空間である。
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プログラムにある作曲家なのだが、我々笛吹き・オケ吹きにとっては、殆ど馴染みのない名前ばかりが並ぶ。ニャタリとかマルティンとかバリオスとか、多分ギター界では普通に聞かれる名前なのであろう。国もキューバとかブラジルとかアルゼンチンとか、やはり南米系が多い。
だがどれもとっても、実に素敵な曲ばかりだ。退屈だったり不可解だったりしたのはひとつもない。思わず身を乗り出して聴いていた。
曲もイイが、橋爪氏の技術も凄い。
実は自分もギターを1本持っていて、フルートとギター用に編曲するのにこれを使って弾(はじ)いてみるのだが、とにかく難しい。全然自分の思うように鳴ってくれない。ああでもないこうでもないとフレッドを押さえているうちに、左の指先がパンパンに腫れてしまった。
なのに今目の前に居る彼は、多分凄い難曲だと思うが、何だかとても簡単そうに弾いている。ギタリストって皆こんな感じなのか?いやいや多分彼は特に名人に違いない。すっかり彼の世界に引き込まれたところで、最後に有名なタレガの「アランブラの思い出」がやってきた。
この曲はごく単純なメロディーラインをトレモロで奏し、基本的な分散和音が下に付くだけである。たったこれだけなのに、聴いているうちにどういう訳か涙が出て来た。普段でもよく耳にする曲なのにこんなに感動するとは…。
個人のリサイタルでこんなに感動して帰るのは、20年位前のミレッラ・フレーニ以来だ。
帰り路はホール近くにある「鬼子母神」に寄り、また東京音楽大学もあるので、新校舎を横目に眺めながらてくてく散歩。池袋からほんの少し歩くだけで、駅前の喧騒からこんなに閑静な住宅街になるのか…と、改めて驚いた。
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そんな訳で、思わず買って来た橋爪晋平氏の新CD「from Here…」
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とても楽しく、そして癒されるアルバムである。

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