オーケストラ,  作曲家・作品,  藝フィルレポート

またまたスライド・ピッコロの話

20160603Gphil
リゲティ集の3曲目、「ヴァイオリン協奏曲」での1コマ。
先月の記事「スライドピッコロ」で使ったアルミ棒が再び役に立った。但し今回はポルタメントでは使わない。
第4楽章でピッコロのhigh-Dが出てきたのだ。
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フルートでは時折出てくるが、ピッコロでは完全に音域外。ピアノで言えば一番右側の鍵盤の更に上の音だ。
尤も、オケでは他の曲でも稀に出てくる。が、この音が出るかどうかは吹き手よりも楽器に依るのだ。
で、自分の楽器ではどうしても出ない。ましてや一発芸ならまだしも、延々とC-Cis-Dと吹き上げて行く。何か対策を練らなければ、という訳でまたいろいろ材料を買い込んで笛作り。
そもそも丁度この高さの音を出す為には、とことん管の長さを短くしなければならない。
そうしたらこんなに小さくなってしまった(大笑)
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それでも音が出る確率は超低く、出たとしても小さくて汚い。要するに使い物にはならず、実験は振り出しに戻る。
更に試行錯誤を重ねた結果、銀管の頭部管を使って倍音を出す事に辿り着いた。
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例のアルミ棒を今度は密閉式にする為、これにスウェードを丁度いい太さになるように巻き付ける。滑り易くする為、少量のワセリンを擦り込む。ほんの5mm程度差し込んで普通に吹くとEが出る。強く吹き込むと密閉式なので度高いHが出る。中々綺麗な音だ。更に突っ込んで行き、結構厳しい状態ながらもなんとかhigh-Dまで達する事ができた。相当強く吹き込まないと出ないが、 楽譜には都合よく(?)ffffffとあるし。
ところでこの2ndフルート、ピッコロのみならず、ソプラノリコーダーも持ち替えなければならない。よく小学生が下校しながら吹いていたアレである。という訳で今回はこの2種類+スライド頭部管で計4本を吹き分けた事になる。
本番は何とかこれで成功した。成功したが、このシリーズ終了後やや暫くの間、難聴気味の日々が続いたのはまあ無理もない。大音量の超音波をずっと耳元で聞かされる事を想像してほしい。
自分は元より、周りの人達にもかなり辛い思いをさせてしまったかなァと思うが、こればかりは反省しようがない。楽譜の通り演奏したまでであるから。

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