ヴァイオリンのデュオコンサート
全記事ではサロンの話をしたが、かん芸館といい、スペースDoといい、榎坂スタジオといい、共通点は客席がパイプ椅子で自由にレイアウトでき、更には演奏者が客席の後ろから出入りする事だ。
で、先日、また同じような小規模のホールに、コンサートを聴きに行って来た。行く途中、本当にこんな所にあるのかなとちょっと不安になるような閑静な住宅街にポツンと建っている、という点まで似ていた。
そのホールは代々木上原にある「ムジカーザ」
このように壁はコンクリート打ちっ放しで天井も高いホールなので、とても響きが豊かだ。果たして楽屋等の設備はどうなのか、そこは未知の領域だが、いつしか自分もここでフルート等吹いてみたいものである。
さてホール比較論はこの辺にして、この日は職場Gフィルの同僚のヴァイオリン奏者お二人によるデュオコンサートが開催された。
ピアノ伴奏もなく、出演者は2人だけ。だがヴァイオリンという楽器は4本の弦で和音が出せるし、声部も分けられる。ピッチカート等の奏法も豊富だから、2人集まるだけでかなりいろんな事ができる。笛吹きには羨ましい話だ。
そして予想した通り、息の合った素晴らしいアンサンブルだった。レオポルドモーツァルトからイザイまで、様々な時代や様式の曲が次々と繰り出され、いちいち面白くて聴き入っているうちに、アッという間にコンサートが終わってしまった感じである。
ところで、その曲自体も良かったのだが、自分にとって弦楽器は専門外のまさに未知の世界。一体弦楽器とはどんな楽器なのか、比較的至近距離で鑑賞できるこの機会に、とにかくその弾く姿、両手両腕の動きと聴こえる音の関係について、とことん観察させてもらった。
その結果、とてもいろいろな事が解り、大変勉強になった。勿論これで弦楽器というものが総てちゃんと解った訳では全くないが、それでも自分的には実に有意義な時間が過ごせた。
その内容をここで事細やかに説明するのは省略するが、それらとは別に特に面白いなと思った事がある。
それはそれぞれの奏者の旋律のニュアンス、所謂“歌い回し”がその人自身の喋り方と酷似しているという事だ。なので、まるで本当にこのお二人が会話しているように聞こえる。もしかしたら、そのヴァイオリンの音質までもが、各々の声と似ていたかも知れない。
でもこれはフルートにもいえる事で、その奏者の普段の喋り方と、旋律の歌い方が非常によく似ているな、と思う事はよくある。でもそれは、口や息が関係している管楽器だからこそ有り得る事だと思っていただけに、弦楽器の演奏でそれを感じたのは初めてだった。という事は、ピアノやギター、もしかしたらマリンバとかでも有り得るのか?
今後機会があれば、是非その点に着目して鑑賞してみたい。