今年度末は「サザエさん」
毎年3月恒例のGフィル、台東区小中学校音楽鑑賞教室では、小学生向けの2回の公演にて「楽器紹介」のコーナーがある。オケの各楽器を紹介する際に、各奏者に何か一節演奏してもらうという、いわば何処のオケにでもある“定番”だが、年を重ねる毎にGフィルメンバーは少しずつ工夫を凝らしているようで、中には人気の曲をアンサンブルで演奏するパートも増えてきた。そんな風潮に乗って、自分もフルートパートは今年は二重奏を2曲アレンジ。
TVでは、時折このフルート・デュオで実にしっくりするBGM等が聞かれるが、今回はその中でもあの国民的アニメ「サザエさん」の中のとあるフレーズをピックアップ。いつも視聴者をほのぼのとさせる、明るい音楽である。
普通、楽器紹介では演奏前に曲名など言わないから、子供達も、そして同僚メンバー達も最初は「この曲何だっけ?どっかで聴いたことあるな…」という表情になる。自分はこの瞬間がわりと好きで、聴いている人を敢えて悩ませるのが一種の醍醐味というか、、、そして「あァ、アレか!」と思い出してスッキリしてもらうのが何とも楽しい。
話は変わって、3月といえば下旬にこちらも恒例の、子供達による吹奏楽団の春合宿がある。今春も岐阜県は関市にある合宿施設にて、夏の定期演奏会に向けて早速練習活動が始まった。
そのプログラムの中に、奇しくも「サザエさん」があった。テーマ音楽、そしてアニメ中のお馴染みのBGMをメドレーに仕立てた曲で、意外と大掛かりな曲である。BGMそれぞれに「サザエさんのテーマ」「マスオさんのテーマ」「大騒動」等、表題が付いていたというのも、自分にとっては新たな情報だった。とても楽しい音楽であるが、因みに先日Gフィルで自分が採り上げたフレーズはここには入っていなかった。
ところが、肝心のこの曲を吹いている子供達に訊いてみると、テーマ曲以外の殆どの部分は知らないと言う。「観ていないから」と言う子供もいたが、もう1つ、現在放送されている「サザエさん」のBGMが昔とは違っているというのも、大きな理由の一つである。自分もたまにこのアニメを観て、実際BGMの方に聞き耳を立てることもあったが、確かに大分変わってきている。これもまた、時代の変遷の表れなのかとつくづく感じる。
しかしながらこの「サザエさんファンタジー」とやら、何だか妙に凝り過ぎていて、とても難しい。合宿最終日の全体合奏では、自分もパートに混ざって一緒に吹いたり教えたりしていたが、2/4→3/8とかの変拍子が出てきたり、フルートでも超高音域の速いパッセージが出てきたりと、大人にはまだしも子供にとっては難所が沢山ある。8月末の本番に間に合うかどうか…まあ、子供達の底力は凄いものがあるので大丈夫だとは思うが。
編曲者だって、こんな子供が演奏することは想定していないだろう。とはいえ、自分が楽器紹介で敢えて観客を「?」と思わせるのとは訳が違う。これでは本当に皆「?」で終わってしまいそうだ。もう少しシンプルなアレンジにしてほしかったなと思う。