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ロックとオペラ

中学生の頃は「レコード鑑賞クラブ」に所属していた(部活動ではない)。これは部員がそれぞれ自分の好きなLPを持ち寄って、音楽室でただ聴くだけという、なんともユルいクラブである。別に感想を書かされることもない。静かにさえしていれば良いので、殆どの部員は寝ていたと思う。

自分の場合、既にクラシックの大ファンではあったが、その時は確か冨田勲さんのシンセサイザー版「展覧会の絵」を持って行ったと思う。あまりその辺は記憶していないが、本当に好きなオケのLP等は、闇雲に他人に聞かせたりせず、自分だけのものにしておきたいという心理があったかも知れない。

他の部員は軽音楽やらロックやら、色々持って来た。お陰で自分はその時に、ビートルズやらKissやら、荒井由実(現:松任谷由実)やら、クラシック以外のジャンルの歌を知るようになり、自分的にはとても勉強になるクラブであった。
そんな中、もの凄くインパクトのある音楽に出会った。誰かがイギリスのロックバンド「クィーン」のLPを持って来たのだ。その中で特に衝撃的だったのが「We will rock you」だ。「ドン、ドン、チャッ」というリズムに乗せてこの言葉を歌う、というより、観客も一緒に連呼するという斬新なスタイル。へぇ〜、こんな曲もあるのかと、聞いていてとてもワクワクした記憶がある。

さてそれから実に43年、現在とても注目されている映画がある。このクィーンのドキュメンタリックな映画「ボヘミアン・ラプソディ」だ。あまりの人気に上映期間が延長されたというので、自分もある意味勉強の為に観てみた。グループのボーカル:フレディ・マーキュリー氏の短くも波乱に富んだ人生が描かれていたのは感動モノだったが、自分は同時にフレディ以外の3人のメンバーの“人間性”にとても惹かれた。

クィーンのメンバーそれぞれが、自分の意見を我慢せずバンバン主張しながらも、お互い相手を尊敬し、尊重し合っている。下手すると大ゲンカになったりするが、それだけ皆で一つの目標に向けて、同じベクトルで進んでいるということだ。
ジャンルは違えども、クラシック音楽のアンサンブル仲間だって結局は同じ事だ。見習わなくてはと、つくづく思った。自分などはつい、場の空気とかを気にして言いたい事を飲み込んじゃうタチだし。これではアンサンブルも長続きしないだろう。

ところで、今更になってクィーンの音楽を色々再認識した自分だが、やっぱりガクタイとしては、映画の中に出てきた彼等のレパートリーをいちいち“分析”してしまう。調性とか形式とか(悪い癖だ)。
例えばこの映画のタイトルでもあるナンバー「ボヘミアン・ラプソディー」などは、ロックとオペラの融合みたいな解説がされているが、融合というよりは寧ろ揶揄している感じが面白い。しかしそれは別として、確かにクラシック的な響きがするし、キィの展開の仕方や音楽形式が何処か斬新だ。「伝説のチャンピオン」などもそうだ。

総合的に、ジャンルを問わず全てのガクタイに観て欲しい映画だなと思った。昨今のイギリスについての話題は、特に経済面で芳しくないが、文化的には実に素晴らしい人物が続出している。シェイクスピア、チャップリン、ビートルズ、ローリングストーンズ、JKローリング…さあ次に何が出てくるか、楽しみである。

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