オーケストラ,  藝フィルレポート

チリ・レポート〜合同演奏会

現地との交流イヴェントはまだ続く。今度は青少年オケFOJI(スペイン語で“フォヒ”と発音する)との合同演奏会だ。各パートの首席に藝フィルのメンバーが座るのだが、今回はこの旅のスペシャルゲストとして、世界的な和太鼓奏者:林英哲氏も共演する。プログラムは…
1.アンティキュラ…チリの作曲家による新作だそうだが、はっきり言って酷い曲だ。音列の微妙な変化を表現しようとして失敗した作品だと思う。
2.タイスの瞑想曲…今回唯一のオリジナルクラシック曲。ソリストは藝大の学長:澤和樹先生。
3.ダンソンNo.2…これはFOJIの持ち曲なのであろう。もの凄くノリのいい南米独特のダンス音楽。テンポや拍子が色々と変化してとても面白い音楽。
4.幻想曲「とおりゃんせ」…これはG大のM先生による編曲&指揮。現地の日本人学校の子供達(多分5〜18歳位?)がオケの前で法被を着て歌い、そして林氏の壮観な和太鼓も加わってダイナミックなアレンジに仕立ててある。冒頭では自分がピッコロのソロを篠笛風に演奏する場面も。
尚、最初の3曲はこのFOJIの常任指揮者が振ったのだが、これが困った。スペイン語しか喋らないので、練習番号など「~番から」という時などはつくづく数字を予習しておいて良かったと思った。それよりも振り方が理解しがたい。何を振っているのかいちいちテンポを探りながら吹かねばならなく、余計な神経を使った感じである。

会場は練習も本番も市の中心部にドンと聳えるモネダ宮殿。

「宮殿」といえば聞こえは厳かだが、実際には宮殿地下のフリースペース。ここにオケと椅子がザッと並ぶ。繰り返すが6月のサンチャゴは真冬。写真の通りの吹き曝しスペースなので、ずっと座っていると足元から寒さが浸みてくる。本番の日は日本から持って来た使い捨てカイロをフルートのメンバー達に配ってあげた。案の定彼等にとってはこれ、初めて見る代物だったようで、揉んでいるうちに熱くなってきたこの物体に歓声をあげていた。
本番の盛り上がりは想像以上だった。実はリハは前日に1回のみ、ゲネプロも無く、特に日本人学校の子供達はぶっつけ本番だ。なのにそのパフォーマンスは完璧で素晴らしく、そして可愛らしかった。お客さんは脇の通路にまで溢れ、恐らく初めて見るであろう和太鼓に大歓声を浴びせ、大盛況のうちにこの“フォヒ&藝フィル”が終わった。

フルートの子達は多分16~18歳位。昨日の学生達同様、とても上手かった。モーツァルトやヒンデミットをさらっていて、何だか初々しかった。今後も頑張って欲しいと思う。

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