【曲紹介】組曲「グリーン・ゲイブルズ」

 この曲名を見て「ああ、あれか」とピン!ときた方も多いでしょう。「緑の切妻屋根」とはアン・シャーリーの住む家の事。そう、モンゴメリの名作「赤毛のアン」を題材としたフルート・アンサンブル曲で、2014年に作曲しました。
 編成は5パートから成り、各パート共複数人による比較的中規模のアンサンブルが望ましいですが、1人ずつでも演奏可能です。ピッコロや特殊管は使いません。難易度は上級〜中級者向けで、 第1フルートから第5フルートにかけて順に易しくなっていきます。しかし第5フルートもとても重要なパートなので、上級者が1人入っていると心強いでしょう。
 この組曲は5曲から成り、演奏時間は各曲3分程度、全15分程です。コンサートの中プロに最適といえる長さでしょう。


第1曲「アン・シャーリー」
“Anne Shirley”

この物語の主人公の名前をストレートに持って来ました。想像力がとても豊かで、常に 前向きに生きる彼女の様子を表しています。 (演奏時間:約3分)

第2曲「大嵐 のち 虹」
“Storm and Rainbow”

物語の舞台であるエヴォンリーの村を大嵐が襲う場面は、実際第2編「アンの青春」に 出てきますが、実はこの曲はアンの性格そのものを表しているのです。 カッとなって怒り、泣き喚いたかと思えば、すぐに機嫌が直って明るくなる彼女の様子を、大嵐とやがて雨上がりの空にかかった綺麗な虹に例えました。(演奏時間:約2分半)

第3曲「恋人の小径」
“Lover’s Lane”

グリーン・ゲイブルズの近辺にある様々な場所に、アンは独自のネーミングをしていますが、この曲はそのひとつで、親友のダイアナや里親のマシュウと語らいながら歩いた小径をこの曲は表しています。
またアンはおっちょこちょいでもあるので、時折大失敗もやらかしますが、そのお茶目な性格を中間部にて表しました。ここで第2&4フルートに出て くる「ジェット・ホイッスル」とは、マウスピースの穴を口でぴったり塞いで、勢いよく 息を吹き込む奏法の事です。「シュッ!」という疾風のような効果音です。(演奏時間:約3分)

第4曲「夕べの祈り」
“Pray for Matthew”

物語に度々出てくる就寝前のお祈りを曲名としていますが、アンにとても優しくしてく れたマシュウが物語の途中で亡くなってしまうので、この曲は実はそんなマシュウへのアンの想いを表現しています。(演奏時間:約3分)

第5曲「輝く湖」
“The Shining Lake”

第3曲同様、アンがそう命名した湖ですが、将来の彼女の夫、ギルバートとの長年のわだかまりがこの湖のほとりで解けたところでこの物語は終わります。そんな素晴らしい展 開をこの曲に表しました。第1曲「アン」のテーマの断片が何度か見え隠れします。
一部のパートでは曲の終わり部分で2つ同時に音が重なっていますが、1人だけの場合は大きい方の音符を演奏してください。(演奏時間:約3分半)

以上の5曲はそれぞれ前の曲の終わりと次の曲の冒頭で、音の高さや音型に少し関連性を持たせてあります。したがって、曲間あまり大きく間を空けないで演奏していくのが効果的です。

全曲の一部楽譜サンプル付のイメージムービーをどうぞ。

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