【この練習曲の特徴】
「24の〜」といわれると、アンデルセンやベームのそれのようにC-Durから始まってシャープ或いはフラットが1つずつ増えて…長短24調全部経由するイメージですが、このエチュードは全くそれとは無関係です。
しかしながら各曲共必ず調性は定まっています。定まっていますが、調号は無く、全て臨時記号のみで書かれています。あまりにも転調が多いからでしょう。それ故臨時記号の有効性については、こと細かくチェックする必要があります。
曲の最初と最後で調性が変化しているのは第17番と24番のみ。それ以外は必ず元の調に収まっています。しかも圧倒的にG-Dur又はmollが多く、半分以上の13曲を占めています。それ以外ではC:が4曲、D:が2曲、フラット系はF: B: As:がそれぞれ1曲ずつ。しかしながら各曲中では、意外な所に転調するパターンで埋め尽くされているので、基本の調の多様性についてはそれ程重要でもないという事でしょう。
【楽譜について】
各曲共大体3分程度で終わるようにできていて、必ず見開き2頁で収まるようになっています。なので、音符の多い曲などは所々窮屈な部分があり、アーティキュレーションや各記号の印刷が不鮮明だったり明らかなミスだったりする事もあります。
そういった点については、筆者なりに修正して演奏しております。
※このページでは各曲最初の4〜5段のみの掲載にしております。
INDEX
第1番
C-Dur/4分の4拍子。ショパンのピアノの為のエチュードの出だしを彷彿とさせる16音符の音型が延々と上下します。
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第2番
G-Dur/4分の2拍子。2つずつの16分音符による3度が、パラレルに動き続けます。
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第3番
C-Dur/4分の2拍子。32分音符による音階やアルペッジョが次々に調性を変えながら流れていきます。
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第4番
g-mol/4分の2拍子。前打音付きの8分音符の連続。前打音は途中から2個の複前打音となり、かなり複雑なフレーズに発展していきます。
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第5番
D-Dur/4分の4拍子。一見オーソドックスな16分音符の連続ですが、調性は何と1拍ごとに変化していく、テクニカルで華々しい音楽です。
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第6番
G-Dur/8分の12拍子。トリルを主体としたエチュードです。ゆったりとした曲想ですが、その中にもヘミオラなどのトリッキーな部分もあり、リズム感も同時に鍛えられる曲です。
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第7番
G-Dur/4分の3拍子。拍の中で激しい跳躍が続きます。アーティキュレーションも激しく変化し、主題再現部では4連符から6連符へと音符が増え、大変忙しい中にも優雅さの滲み出ている曲です。
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第8番
g-moll/変拍子。“分母”がめまぐるしく変わる中、16分休符を挟むかなり複雑なリズムが続き、いわゆる“ノリ”の良さが求められる曲です。この曲では明らかに拍子の表記ミスがあるので、そこは直して吹いています。
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第9番
C-Dur/16分の12拍子。細かい3連符の連打を伴うスケルツォのような曲。後半部分では音を1ヶ所半音下げて吹いています。
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第10番
g-moll/8分の5拍子。途中からスラーでくくられた長いフレーズや、逆に細かい付点のリズムが繰り返される等、一定のテンポの上で曲想が七変化します。
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第11番
G-Dur/8分の6拍子。7番の親戚のような曲です。途中から細かい3連符が挟み込まれたり、終盤ではアーティキュレーションの変化によって拍子感が薄れてくる等、かなり凝っている曲です。
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第12番
C-Dur/4分の2拍子。「4度和声」という変わった分散和音が中心の曲です。5度や6度等の広い跳躍も頻繁に挟み込まれるので、かなり上下運動の激しい曲となっています。
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第13番
G-Dur/8分の12拍子。水の流れを連想させるような滑らかな曲想ですが、時折細かいアーティキュレーションによってリズミカルな一面も見え隠れする愉しい曲です。
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第14番
As-Dur/4分の4拍子。ゆったりとした中にも高速な分散和音がサラッと挟み込まれる、洒落た音楽です。前半はエレガントな雰囲気ですが、後半はミリタリックに展開していきます。
尚トリルも連発する曲ですが、1ヶ所、普通の楽器では演奏不可能なトリル(Des↔︎Es)が出てくるので、これはプラルトリラーに変更して演奏しています。
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第15番
G-Dur/4分の2拍子。殆ど8分音符でできています。何も表示はありませんが、この速度からして終始スタッカートで吹くのが妥当でしょう。しかしながら、低音部でその鋭さを持続するのはなかなか困難な面も持ち合わせています。
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第16番
F-Dur/4分の2拍子。リズム・アーティキュレーション・トリル・連打…あらゆる要素が集結して、まるで一つの物語を表現しているような総合的エチュードです。従って、ここでは敢えてほんの少しだけテンポに変化をつけて吹いてみました。終盤では拍子やアーティキュレーションも修正しております。
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第17番
G-Dur?/4分の4拍子。連打のリズムと長いスラーの対比が特徴的で、全体的にミステリアスな感じの曲です。後半では音同士の連結やフィンガリングに於て高度なテクニックが要求されてきます。最後はPで終わるのが相応しいでしょう。
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第18番
G-moll/4分の2拍子。16番と同じように総合的なエチュードですが、特にここでは16分音符群に無理矢理ねじ込まれる複前打音が特徴的です。終盤では難易度もアップし、かなり吹き応え&聴き応えのある曲となっています。
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第19番
B-Dur/4分の4拍子。全24曲中、唯一この曲だけ調号が付いています。しかしやはり転調が激しく、B-Durなのは最初と主題再現部と最後部のみです。32分音符の動きが実に特徴的で、連打・パラレル半音階・分散和音等、様々なパターンが展開されていきます。
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第20番
G-Dur/4分の2拍子。一見16分音符のデタッシェを中心とした細かいフレーズが延々と続くように見えますが、この曲には4/3拍子のスラーベースのフレーズも登場するので、その2面性がとても重要な曲です。テンポが一定な分、拍子の違いによる曲想の差も出てきますが、それだけに分散和音における音の連結も重要なポイントになってきます。
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第21番
G-moll/8分の6拍子。かなり“忙しい”印象のスケルツォ風音楽で、この曲も15番同様、8分音符はスタッカートで演奏するのが相応しいでしょう。16分音符絡みのアーティキュレーションが様々で、スラーとタンギングの細かいラインを正確に再現するのもポイントの1つです。後半ではその16分音符の動きが、かなり上下に広がってきます。
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第22番
d-moll/4分の2拍子。14番に似た感じの動きですが、曲想は真逆、でかなりPesanteで重苦しい印象の曲です。ここでは2種類のスタッカート、つまり黒丸(=スタッカート)と楔形(=スタッカーティッシモ)の違いもポイントの1つで、記号通り忠実に表現すると更に曲が面白くなります。尚後半部では、トリルの後打音を1ヶ所足して演奏しております。
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第23番
G-Dur/4分の3拍子。数ヶ所3又は6連符が出てくる以外は、終始5連符で統一された曲です。拍毎にテヌートでメロディーラインを示すフレーズと、そうではなく大きなフレーズ感を表現するフレーズの2種類があります。何れにしてもスラーが異常に長いので、短かい休符の間にたっぷり吸い、そして上手に使っていくというブレスコントロールの技も同時に必要です。
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第24番
f-moll/4分の2拍子。全24曲を締めくくるイメージとはちょっと違う、アイロニカルな雰囲気の曲です。出だしの旋律線は4番や18番に似ています。また14番と同じく、高速でこなすのが不可能なDes↔︎Esの前打音が何回か出てくるので、ここでは6連符調に広げて演奏しております。
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