レコーディング・レポート(本番編その2)

録音2日目。一晩寝て身も心もリセット気分で、フランクの名曲:ヴァイオリンソナタの録音に臨む。実はこの曲のフルート版は、J.P.ランパル氏の編曲によるインターナショナル社版をそのまま使って、過去二回本番で吹いたのだが、今回の録音に際してオリジナルのヴァイオリン譜をチェックしていると、随分と音やアーティキュレーションが違っている事に(今更ながら)気付いた。
なので今回は、できるだけオリジナルに近い楽譜に書き換えた。いうなれば“湯本版”だ。となると音域的になかなか難しい部分が出てくるが、そこは自分とM氏のタッグで上手く乗り切っていくしかない。

例によって緩徐楽章の録音から始める。第3楽章の「レチタティーヴォ・ファンタジア」、続いてゆったりとした流れながらも、深い響きを兼ね備える第1楽章。どちらもやはり元気なうちに吹いておかないとヤバい曲だ。
昼食でエネルギー補給をしたところで、いよいよあの激しい第2楽章、続いてドラマティックな第4楽章。そうはいってもフランクは、昨日のベートーヴェンより1楽章多いのに、全体としてはあれ程長くはない。リピートもない。
心配していた“隣室の音”も、今日は利用者が居なかったようで滞りなく進んだ。かくして夕方17時過ぎに全曲終了!遂に終わったァ〜、という安堵の思いが広がる。

とまあ、ここまで淡々と書いてきたが、実はこの2日間はopus55のM氏にかなり助けられた部分がある。大学時代の旧友であり親友であり、悪友(?)でもあるので、お互い気兼ねなくズバズバ意見が言えるが、とにかく彼の助言がいちいち的を得ていて、いつも「なる程」と思わされる。この後鬼のような編集作業が控えているが、120%信頼できるので、きっといいマスターが仕上がるだろう。
そして何より、何よりピアノの池田葉子さんに感謝である。この度の2曲はもう、はっきり言ってどちらも「フルートとピアノの為の」ではなく「ピアノとフルートの為の」ソナタだ。こんなにもハードなピアノパートなのに、淡々と、そして見事に弾きこなして下さった。池田さんはとても音色の綺麗な方であると思う。その音色の綺麗なピアニストが音色の綺麗なベーゼンを弾くのだから、まさに鬼に金棒(ちょっと言い方が変だが)吹きながら特等席で最高の音楽を聴いている気分でもあった。その意味では、とても幸せな2日間であったと思う。

さて、M氏曰く、仮編集したメディアは録音後1ヶ月程待ってから聴く方が良いとの事。演奏直後よりも頭が冷静になり、客観的に編集できるからだそうだ。ひと月後といえば、丁度年末年始の頃である。正月にゆっくりお屠蘇でも嗜みながら聴いてみる事にしよう。


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