運命と寿命

昨今、若くして癌でこの世を去る有名人が癌で相次いでいる。考えてみれば自分の母親もそうだった。55歳と9ヶ月と7日。あまりにも早過ぎた。

ところで大雑把な計算ではあるが、つい先日、自分はこの母親の寿命を無事超えたことが判った。親よりも長生きするミッション、先ずは母親分は達成である。次は父親分だが、現時点では事故や事件にでも遭わない限り、健康面ではまだまだこの先ずっと大丈夫そうだ。


そんな事を思っていた矢先、とある訃報が飛び込んで来た。

我らが“上司”、東京藝術大学の副学長で作曲家の松下功先生が先週末に急逝されたという知らせ。G大だけでなく日本の芸術と音楽の発展の為に、あちこち精力的に飛び回っていた方である。この日もリハーサルで棒を振っていたそうだが、突然倒れて救急車で運ばれ、あっという間にあの世に行ってしまわれたそうだ。

死因は急性大動脈乖離。…って何ぞや?とすぐさまググってみたら、心臓の近くにある大動脈の層が剥れて大出血する疾患だそうだ。気になるのは原因である。「肥満・高血圧・ストレス・喫煙」等とあったが、松下先生に限って総て当てはまったようには全然見えない。まあ多少のメタボ感は否めなかったが、それだけではもっと危なそうな人はいっぱいいる。

享年66、実は今年度で定年退官だったそうだ。12月にはGフィルも振って下さる予定であった。とにかく元気いっぱいの方で、とてもこの世を去るなんて…信じられないにも程がある。

先述の癌で亡くなる人などは、当然自分の死期というものを意識するだろうが、例えば自然災害で亡くなる人、交通事故で亡くなる人など、嫌な話だが事件に巻き込まれる人は、その前日にまさか明日自分が死ぬなんて思わないだろう。その意味では、そのどれでもないのに、松下先生も同じように無念であったに違いない。

そして、我々もまた残念でならない。大好評の年末の恒例「障害とアーツ」や「レクサスコンサート」シリーズのプロデュースをはじめ、昨年Gフィルを地球の裏側(チリ)まで連れて行って下さったのも彼である。本当に、心から感謝すると共にご冥福を祈るばかりである。

アンデスのポンチョを着て(inチリ)

こうしてみると、人間の運命なんて実に判らないものであり、自分が占いなんてものを一つも信じない所以である。だが一方、まるでその寿命は最初から決まっているかのような錯覚も覚える。自分だって省みれば[あの日あの時もしかしたら死んでいたかも]という瞬間が、何度か無きにしもあらずだったから。


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