咄嗟の連携プレー

長いことオケで吹いていると、噂で聞いていた暗黙のルールとはいえ、本当にこういう事があるんだな〜という出来事があったので、ひとつ記しておく。

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昨日のGフィルモーニングコンサートでは、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番が演奏された。その本番、第2楽章スケルツォの途中、ソリストの楽器の弦が突然「バチッ」という音を立てて切れた!

その前後の自分のパートは暫く休みだったので、目を閉じて待っていたのだが、何となくそのソロを聴いていて妙に不穏な空気を感じたので、ソリストに目をやった瞬間だった。

当然演奏はできなくなるが、その直後の演奏者の対応は何というか…見事だった。

まず、音楽は止まらずに続いている(指揮者も止めない…というより気づいていなかったか?)。よりによってこのスケルツォはもの凄い曲で、怒涛のようにフォルテが流れていくので、その「バチッ」すら目立たない部分。切れた途端彼(ソリスト)は咄嗟にくるりとこちらを向いてその楽器をコンサートマスターに差し出す。コンマスもすぐに察知して自分の楽器と交換。すぐにそれで再び弾き始める。一回落ちたら自分なんて何処から乗ればいいのかパニックになるのに、そこは流石に曲を弾き込んでいるソリスト、すぐに何事もなかったかのように流れに乗る。だから、ソロのパートで音が無かったのはほんの数小節、タイムにしてたったの5秒位だ。

で、その後どうしたか?
ソリストはコンマスの楽器を弾いている。
コンマスはその弦の切れたヴァイオリンを隣のトップサイドのNさんの楽器と交換し、Nさんの楽器を弾く。
Nさんは真後ろに座るMさん(だったかな?)と楽器を交換し、Mさんの楽器を弾く。
Mさんはその真後ろの人と、というように楽器を交換していき、弦の切れたヴァイオリンは最後尾のプルトで弾いているN氏に届く。
で、N氏が途中退場して舞台裏にて新しい弦を張り替える。勿論この間演奏はずっと続いている。

なので一番エライ目に遭っているのはこのN氏。できれば第3楽章が始まるまでに張り替えなければならない。超高速テンポの第2楽章は時間も短い。後で聞くところによると、この時間との勝負でN氏、緊張のため震える指で張り替えたそうだ。さながら時限爆弾の処理班のような気分だっただろう。

そして、無事に第3楽章の前で直ったソリストの楽器がN氏によって届けられた。オケもそれぞれ自分の楽器が戻る。ソリストはチョイと調弦して演奏開始。この一連の流れ、もしかしたら気づかない人には判らないままであったかも知れない位、スマートであった。

この様子を見ながら自分は演奏していた訳だが、やはり自分もドキドキしていたし、第1ヴァイオリンの人達の連携プレーを目の当たりにして感動もしていたし、かといってちゃんと数えていないと吹けないし、いろいろな思いの詰まった貴重な体験であった。

同時に、やはりこれは弦楽器だからできる事だな〜と思う。1パート1人という管楽器にはここまで自然な流れはできないし、できたとしても隣の楽器と構造上指使いが違う場合もある。だからつくづく楽器は普段からちゃんとメンテナンスしておかねば、という気の引き締まる思いでもあった。


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