思い出のオンボロ小屋

野暮用で実家に戻り、その際に近所にあるホームセンターにて買い物。

このホームセンター、真下に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が開通する関係で、元の場所より北西に1.4km程の大移動を余儀なくされた。そこで今日は、その移転先の新店舗に初めて足を運んだ訳だが、その途中で目に止まったこの場所…

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長屋風の今にも崩れそうな掘建小屋。どうやら誰も使っていないようだ。周りは結構新しい家屋とか立っているのに、この土地と小屋だけが何だか持て余されているような感じ。

驚いた!本当に驚いた。懐かしいこの小屋、まだここにあったとは…

実をいうとこの建物、何と自分が初めてピアノを習ったピアノ教室だったのである。

ヤマハではなく、ナントカ音楽教室(忘れた)という教室が、レッスン室の一つとしてこの場所を借りていたのだと思う。しかも!この小屋、左右別々になっていて、ピアノ教室だったのは左の小さいドアの方だ。

因みに自分が習い始めたのは中学2年生の時。勿論当時はもっと綺麗な外観で、このドアを開けると、目の前にアップライトピアノが1台チョコンと置かれていた。隣りは珠算教室か何かだったと思う。

既にフルートを吹き、中学の吹部でコンクールとか経験している14歳男子にとって、枝豆大の音符が印刷されている「こどものバイエル」はかなり違和感があったが、それでも真剣だった。

それに先生が厳しかった。手の形・テンポ・強弱・そして表現等、必死で指を動かす少年の斜め後ろから、とても細かく注意された。たかがバイエル、されどバイエル、ピアノの基礎をこの小屋でもの凄く叩き込まれた。

バイエルが終わったら、バルトークの「ミクロコスモス」という不思議なエチュードをやらされた。全6集ある中の第1集は初級者用だが、それでも当時の自分にはとても難しかった。まるで脳トレみたいな曲が並び、でもそのお蔭で対位法の基本なるものも学べた。自分が音高を受験したいというと、聴音もみてくれた。単旋律から和声まで沢山弾いて下さった。その中で何故か未だに鮮明に憶えている課題がこれ。

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結構いい曲なので、40年近く経った今でも憶えているのだと思う。

そんな或る日、この(当時)銀色のドアを開けたら、違う先生が居た。どうやら教室の意向で急に替わっちゃったらしい。新しい先生は優しくて、とても丁寧に教えてくれたし、聴音も引き続きやって頂いた。発表会で大好きなドビュッシーの「月の光」を弾きたいという身の程知らずなお願いをしたら、快く承諾して下さった。

やがて本格的な受験期を迎え、G大の師匠の門を叩くまでの約1年あまりの短い期間だったが、このお二方にはそんな訳でとても感謝している。

 

という、自分にとっては思い出深いこのボロボロの建物、何故未だにこんな状態で残っているのか?借り手はつかないのか?オーナーはどうしているのか?いろいろな想像が張り巡らされる。自分がもし大金持ちだったら、どうにかしたいところだ。


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