録音係

自分が教えに行っているフルート教室(MFLC)の発表会があった。

1年に月2回ずつ自分は経験するので、生徒さんが舞台に立つのを固唾を飲んで見つめる…なんて事も考えてみたらもう40回を超えていると思う。が、実際は見つめる暇などあまりなく、自分はずっとここでは録音係をやらされている。

自分の生徒さん以外の演奏の時は、会場から出て外の空気も吸えるのだが、録音係は本番の最初から最後までほぼ全員聴いていなければならない。演奏者は40〜60人位。昨日は「体育の日」だったが、これはほぼ体育に等しい。

で、録音係は何をしているかというと、レコーダの傍にずっと座って監視しているだけなのだが、何といっても失敗は許されない。「今の録り損ねました、すみませんもう1回吹いて下さい」という訳には絶対に行かないのだ。だから、一見楽なこの作業も、何か変なことにならないよう、常に機械を見張っている訳である。

ここの録音機器も大分時代の流れとと共に変わってきた。自分がここで初めて教えた頃には既にデジタル録音が始まっていたが、確かメディアはDATだった。DAT。憶えているだろうか?ビデオテープを8分の1位に縮めたようなカセットで、確か90分位までしか録れない。

続いて登場したのがCD-Rレコーダ。これも1枚につき70分位まで。DATにせよCD-Rにせよ、4〜6時間かかる発表会本番では、途中でメディアを取り替えなければならない。このタイミング計算が難しい。各出演者の演奏時間が前以て出されているので、それを参考に取り替えるチャンスを設定する。計算をミスると途中で録音が切れちゃうという、最悪の事態が発生する。幸い、これまでこういう失敗例は今のところない。

さてそして数年前に登場し、現在使用しているのが、USBメモリやSDカード等に直接録り込めるデジタルレコーダ。経験上SDカードよりもUSBメモリの方が転送速度が速く、安定している。何より、これまでの機械に比べて数十倍のデータが録り込める。つまりあんな小っこい媒体に、一気に一日分入っちゃうので、途中で取り替える必要がないのだ。いやこれはもう、劇的に楽になった。

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となると本当に機械を見つめているだけかというと、実はそうではない。トラック番号を打ち込むという、地味に重要な作業が必要なのである。

こうしてできたマスターデータを、会社が記録として永久保存しているかどうかは定かではないが、各出演者が希望すれば、このマスターから自分の演奏だけCDに落としてくれるのだ。トラック番号はここで必要になる。録音係は(録音状態のまま)各演奏の前にそのボタンをポチッと押して番号をつける。すると後でダビングする時にサッとその番号を呼び出せるという仕組みだ。

さて、ここまで便利になった録音機器だが、生徒さん達の真剣勝負の集大成が手のひらに収まるメディア1個の中に全部詰められているというのは、考えてみれば恐ろしい話だ。何かの拍子に落っことして踏んづけたら…冬場は静電気が発生するからバチっとやってデータが一瞬で消えたら…何より何らかの原因で録音されていなかったら…考えるとゾッとする。

そんな訳で自分は私物の小型デジタル録音機器も持って来て、傷害保険よろしく必ず一緒に録音している。これが役に立ったのは、実は1回だけあった。怖いコワい。


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