最近の先生と生徒

ひと月程前だったか、友人の音楽科教師とこんな話をした。

曰く「最近の学生のレヴェルが落ちている」と。

で、それを確かめる為に我々の学生時代の録音を聴いてみたら、やっぱり当時の我々の演奏方がレヴェルが高かったそうだ(注:自分は除く!)。

「へえ~、そうなんだ今の学生、上手いのにね」と返すと「いや皆んな譜面にある事はちゃんと演奏するよ、ただそこから先が薄っぺらくて、あまり『音楽』が感じられない。それに実際ちょこまかとミスもよくするしそれでこの間の卒業試験でそれなりの点を付けたら、私だけ他の先生方よりもとびきり辛かったんだ」

逆に「何でそんなに他の先生は甘いの?」と訊いたら「これまで頑張ってきたご褒美で、その分上乗せしているんだって」とな。

まあ、また「へえ~そうなんだ」で済む話なのだが….そういえば思い起こせば当時の卒演では、えも言われぬ緊張感が漂い、その中で今でも語り草になる程の先輩や同輩達の大名演が生まれたものだった。

例えば何とかコンクール上位入賞者とか、モーニングコンサートのソリストとかになると、素晴らしいテクニック&音楽性を兼ね備えた若者達が多いが、それ以外の学生の演奏をたま〜に聴く機会があるが、そう言われれば確かに彼の言う通りだなあと思う。

上手いんだけど….何となく「薄い」….これは人生経験にも依るのかなと思うが、いやいや実際あの時自分達だって学生だったし。全体的にはやはりレヴェル・ダウンという事か。

その「上乗せ」にも関する話だが、もしかしたら自分達の時代に比べて、最近は優しい先生が増えたかも知れない。我々の世代の師匠の殆どは(既に退任し、中には他界された方もいらっしゃるが)震える程怖かった。

単に怒るとか怒鳴るとかではなく、何というか、傍らに座っているだけで魔神のような威圧感を備えていて生徒はもう1音たりとも外せない、外したら最後、喰われるんじゃないか?なんて雰囲気の先生は昔は沢山いた。生徒はレッスンは「本番」と思って、死にもの狂いでさらったものだ。

因みに自分の師匠は、恐ろしいとか怖いとかはなかったが、やはりそれなりに厳しかった。だが当時、OBの先輩が言うには「◯◯先生、お歳を召されて随分優しくなったね。昔は怖くて、皆んな泣いてレッスン室を出て来たのに」との事!

勿論、先生の怖い怖くないは、生徒の上手い下手とは、直接は関係ない。だが本当に、本当に全く関係ないかというと、先の友人の話じゃないが、あながちそうでもない気がしてきた。

土建業、工芸、文化芸能etc.と同じように、いわば音楽家を目指す者にとって先生と生徒イコール師匠と弟子。徒弟制度よろしく弟子は師匠から「音楽」という「仕事」を教わる。

その場所が音大や音高という“学校”になっただけだが、今や先生と生徒はもう友達みたいな雰囲気とか、学校によっては気に入らない先生は生徒の方から教務にNGを出せるとか、どっちが偉いんだか判らない話も聞こえて来る。

だが、先生の方でもたまに良くない人が。ちゃんとレッスンしなかったりとか、セクハラパワハラ等の噂も聞いたりこれでは生徒も上手くなりようがない。

とまあ、ちょっと話が極端な方に行き過ぎたが、ついその友人とも「昔は良かったね」みたいな思い出話になってしまった。定年で惜しくも学校を去ってしまったあの先生、この先生には、是非また教えて欲しいものだね〜なんて。

ただ我々の世代の先生の中でも、また別の意味で凄い方達がいらっしゃった。

この話になるともうネタが尽きないので、また今度。

20141018


カテゴリー: 未分類 タグ: , パーマリンク