母のアラーム

今日は母の命日なので、母とコンサートにまつわる思い出話をひとつ。

 

自分が高校生の頃、近所の工場にパートで働きに行っていた母は、いつも同じ時刻に腕時計のアラームをセットしていた。
確か2時50分、多分何かの10分前の準備なのだろう、「ピピピピッ!ピピピピッ…」という結構けたたましい音。騒がしい工場内では必要な音量なのであろう。

 

話は替わり、当時自分の通う高校では月イチ位のペースで「アカンサスコンサート」という、生徒有志によるソロや室内楽のコンサートをやっていた。自分が出る時も出ない時も、母はよく聴きに来てくれたものだ。

 

ある日のアカンサスコンサートでの事。その日は母も来ていたが、自分とは全く違う席に座っていた。男子高校生たるもの、そう易々と母親なんかと一緒には行動しないのだ。が、その日はその事を後悔する破目に…。

 

コンサートの本番中〜忘れもしない、ラフマニノフのピアノ曲の演奏中だった〜会場の何処からか、何か聞き憶えのある「ピピピピッ!ピピピピッ…」という音が突然鳴り響いた。あ!まさかと思って自分の時計をみたら2時50分!

 

あれは母のアラームだ。

 

今のアラームはどのボタンを押してもすぐに止まるようになっている。だが、当時の腕時計は2つか3つのボタンを順序よく押さなくては止まらないのだ。
止め方は自分も知っていた。が、離れて座っているのでどうする事もできない。母は知っていたのかどうか、とにかく暗闇の中でいきなり鳴り出した自分の時計にパニクって、必死にボタンをいろいろ押していたに違いない。

 

約30秒の間、ずっと無碍に鳴り続くアラームに周りのお客さんも迷惑がっている中、母と一緒に内心死ぬ程焦っている自分がその時に居た

 

その後「ったくよ〜」とか言ってた級友達に「あれは多分俺のオフクロだ。ゴメン」と頭を下げて回った自分。
本人も相当ビビったらしく、何をしても全然止まらないので、堪り兼ねた隣りのお客さんがハンカチか何かで腕ごと覆ってくれたそうだ。そういえば途中で何か音が小さくなったな…。

 

今から30年以上も昔の話である。

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母のアラーム への2件のフィードバック

  1. マグダレーナ のコメント:

    ユモチャン様 こんにちは♪

    銀座教会のマタイいかがでしたか?
    アルトの永島さんとは何度かカンタータ ソロでご一緒させて頂きました。
    教会は今週、受難週入りしました。

    お母さま、亡くなられていたんですね・・・
    知りませんでした・・・
    思い出す時、お寂しいでしょう。

    • yumochan.com のコメント:

      マグダレーナ様♪
      今春も厳かに礼拝が行なわれました。
      あれからもう17年…奇しくも母の命日(しかも同じ日曜日でした)にマタイを演奏できたのは記念すべき事でした。
      また、師匠のソロが隣りで聴けるのもこれが最後と思うと、それも淋しいものです。まだまだお元気なのですが…。
      次回からは一応自分が任されて吹く事になります。緊張しまス…

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