松代ミュージックキャンプ〜終了によせて

楽しい講習会

東京から上越新幹線で1時間半、越後湯沢から北越急行(ほくほく線)でさらに1時間弱で「まつだい駅」に到着。同時にここは国道253号線沿いの「道の駅」でもある。迎えのバスに乗り込んで、15分程峠を揺られて辿り着いた所には、昔小学校だった「松代町生涯学習センター」がある。毎年8月のお盆の時期に開催されていた「松代ミュージックキャンプ」のメイン会場である。「・・・されていた」と過去形なのは、もう今年限りで打ち切られてしまったからだ。

ほんの2泊3日だが、本当に楽しい講習会だった。自分達講師は合計約16時間のレッスンの他に、コンサートでソロ演奏とその為のリハーサル、更には最終日の閉講式でも受講生の発表会の面当も見なければならないので、かなりきつい仕事ではある。だが夜には生徒さん達との交流会、更には美味しいお酒と温泉にも恵まれて、まさに僕にとっては毎夏のビッグイヴェント。1年の前半後半は6と7月で分かれるが、僕にはこのキャンプが終わった時にいつも「ああ今年もこれで後半だなあ」なんて思える位、年の中心的存在であった。

充実した講師陣

この講習会の講師陣は、まず音楽監督が須川展也氏。人気のサックス奏者だから、サックスの受講生はとてつもなく多く、彼の元お弟子さんと2人掛りで教えてもまだ時間が足りなくて、閉講式後も居残りレッスンが続いたりしていた。

クラリネットは芸大教授、村井祐児先生と元お弟子の高子由佳さん、トランペットは藤井裕子さん、トロンボーンは倉田寛氏、ホルンは日高剛氏、そしてパーカッションは山口多嘉子さん・・・最終回はこのようなメンバーであったが、年によっては少し顔ぶれが入れ代わったり、ユーフォニアム&テューバの講座があったりもした。

ファイナル・コンサート

キャンプ2日目の夜には、講師達による「ファイナル・コンサート」が開かれる。主に、須川さんの奥様のピアノ伴奏で一人づつソロを演奏し、時にはクラリネットや金管のアンサンブルが入ったりするが、このコンサートが圧巻であった。

「生涯学習センター」とはいっても所詮は元小学校、バスケット・ボードの見おろす体育館にパイプ椅子を並べただけの本番会場だ。時折蛾なんか飛び交ったりするのだが、そんな中、次々と名演がくり出されるのだ。

お客さんも車でわざわざ峠を上って、大勢来て下さるので会場はほぼ満員。村井先生の年齢を感じさせない華麗な指さばき、倉田氏の超絶技巧をはじめ、皆本当に素晴らしい演奏、そして最後に須川氏の目を見張るようなテクニックと音楽に圧倒され、もう大変な盛り上がりである。自ずと自分も「こりゃヤバイ」と危機感に迫られ、練習に熱を入れざるを得ない。

それにしてもここは新潟の山奥の元小学校の体育館。こんな所なのに、東京で明らかに片付け仕事とも思えるような、気の抜けたオケの本番なんかよりも、何倍も聴く価値があるコンサートだと思う。

 自分がこのキャンプに招ばれたのは第2回から。その時の講師はまだ4人、ほくほく線もできていなかった頃で、越後湯沢駅から迎えの車で90分程揺られて来た記憶がある。車から目にする風景はどこも素晴らしく、僕の視線は到着するまで殆ど窓の外に釘付けになっていた。夜になると星空の綺麗なこと!皆で道路の真中に仰向けに寝そべって、天の川(あんなにはっきり見えるとは・・・)や次々に流れる星を見つけては歓声を上げていたこともあった。

そう、ここ松代町の自然の素晴らしさは筆舌に尽くし難く、こんな大自然の中で楽器が吹ける幸せを毎年味わって来た訳である。個人的には体育館の舞台袖から見える夕日がベストショットであった。

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松代の素晴らしさ

素晴らしい自然、素晴らしい音楽、松代ミュージックキャンプの魅力はそれだけかというと、そうではない。「素晴らしい人達」がいる。実行委員長の若井さんをはじめ、各スタッフの方々、松代中学校OBOGのボランティアの人達には何から何まで、本当にお世話になった。心より感謝したいと思う。

このような講習会は、スタッフと講師と、そして受講生の皆さんがバランスよく三位一体となって盛り上げていくもの。そしてこの盛り上がりを11年間サポートしてくれた松代町にも御礼を言いたい。

惜しまれつつ終了

 しかしながらその松代町は市町村合併により、今年度限りで消える。同時にこのミュージックキャンプも。再開を心待ちにはしているものの、多分もう無理だろうなあと薄々予感はしている。少なくとも、あの山の上の元小学校から名演が奏でられることはないだろう。とても淋しい。


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